Archive for 8月, 2015

「異文化コミュニケーション」での特別授業

金曜日, 8月 28th, 2015

7月1日に「異文化コミュニケーション論」(石川園代先生)の授業で、特別授業が行われました。パレスチナのガザご出身で、北海道大学に在籍のReem AbuKmeilさんにお越しいただき、出身地の現在の様子などをお話し下さいました。ご自身の国や宗教に対し誇りを持っていることが語られ、参加学生の印象に残ったようです。

Reemさんのご紹介。

Reemさんのご紹介。

授業中は、イスラムの女性が身に付けるヒジャブ(hijaab)を、女子学生が試着する場面もありました。

このhijaab、現地の女性は宗教上の理由などで仕方なく着用しているのかと思っていたら必ずしもそうではないようで、「hijaabを礼儀として捉え、また、女性のファッションとして楽しんでいる」とのこと。一方的な情報、思い込みや偏見に縛られず、現実を見聞きすることがいかに大事か、考えさせられました。

Reemさん、貴重なお話を本当にありがとうございました。

大学教員の仕事を見てみよう―国際学会での研究発表(2)ベルギー―

月曜日, 8月 17th, 2015

今回は夏休み特別企画第2弾、水島先生のベルギー出張の様子をお伝えします。

 

こんにちは、英語英米文学科教員の水島です。

本日は、7月末〜8月頭に国際学会で訪れた、西ヨーロッパはベルギーの様子をお届けします。英語教員とは言え、国際学会は世界各地で開催されるため、ヨーロッパやアジアなど、英語圏以外の地域にも繰り出します。

 

今回の旅程は、新千歳空港から羽田空港に向かい、ドイツのフランクフルト経由でベルギーのブリュッセルに行った後、会場校のあるアントワープまで列車で移動しました。飛行機などの待ち時間を除いても、合わせて14時間半の大移動です!それでも、学会発表前の程よい緊張感と、初めてベルギーを訪れるワクワク感とで、さほど眠気は感じませんでした。ブリュッセルに着いてみると、気温はおよそ18℃、小雨が降ってひんやりとしていました。蒸し暑い日本と比べると、薄手のコートが必要なほど寒く感じました。

 

ベルギーでは、北部のフランドル地方ではオランダ語、南部のワロン地方ではフランス語が公用語とされていますが、首都であるブリュッセルでは両言語が併用されていて、あらゆる場所でオランダ語・フランス語の併記が見られます。

 

駅の構内にて。「ここでお待ち下さい」という意味のフランス語・オランダ語による表示です。

駅の構内にて。「ここでお待ち下さい」という意味のフランス語・オランダ語による表示です。

訪れてみてすぐに気づいたのですが、駅や街の中にほとんど英語による案内がありません。そのため、当初は不安を覚えたのですが、すぐにそのような心配は無用であることが分かりました。駅員さんやお店の人々、そしてすれ違う市民の方々まで、英語でのコミュニケーションが可能です。分からないことがあれば私たちに直接聞いてください、ということなのですね。

 

さて、ベルギーと聞いて皆さんが真っ先に思い浮かべるのは何でしょうか。チョコレートやワッフルは特に有名ですね。街を歩けばたくさんの美味しそうなお店やスタンドが並んでいます。私も早速人気店に行ってみましたが、焼きたてのワッフルはボリュームたっぷりで、大満足でした。

他のお客さんの真似をして、焼きたてのワッフルの上に冷たいアイスクリームを。

他のお客さんの真似をして、焼きたてのワッフルの上に冷たいアイスクリームを。

ブリュッセルを出て、列車でさらに40分ほど移動すると、最終目的地のアントワープに到着しました。アントワープ中央駅は、伝統と新しさが見事に調和しており、しばしば「世界で最も美しい駅」と称されるのも頷けます。

 

アントワープ中央駅の構内。外からの眺めもまた格別です。

アントワープ中央駅の構内。外からの眺めもまた格別です。

その後、駅からタクシーで滞在先のB&Bに移動し、その翌日から6日間に渡って学会に参加しました。学会期間中は世界中から多くの研究者が訪れ、活発な議論や情報交換が行われました。私もポスター・セッションに参加し、多くの来場者の方々への発表とディスカッションを楽しみました。

大学構内。どっしりとした石造りの建物が並んでいます。

大学構内。どっしりとした石造りの建物が並んでいます。

本番前日の1枚。セッション中は息をつく暇もありませんでした。

本番前日の1枚。セッション中は息をつく暇もありませんでした。

滞在したB&Bはアントワープ大学から徒歩10分程度の所にありました。オーナーが作ってくださる朝食はとても美味しく、滞在客の好みに合わせて少しずつメニューに変化を持たせるなど、細やかな心配りのおかげで7日間飽きることがありませんでした。また、部屋の所々に可愛らしい花を飾るなど、ホスピタリティーのヒントをたくさん頂きました。

以下の写真はB&Bでの朝食。特に、毎朝56個のオレンジを絞って作ってくださるフレッシュジュースは格別でした。

 

また、今回の大会では、4日目の午後に自由時間が設けられており、その機会にアントワープの市街地を巡ることができました。皆さんの中には『フランダースの犬』という作品をご存知の方も多いのではないでしょうか。実は、この物語の舞台のモデルとされているのが、アントワープに隣接するホーボーケンという村なのです。そして、物語のラストシーンでも有名な、アントワープのノートルダム大聖堂(聖母大聖堂)には、主人公が最期に眺めたルーベンスの絵画が飾られています。

 

高さ123mを誇るノートルダム大聖堂の外観。付近は世界各地からの観光客で混み合っていました。

高さ123mを誇るノートルダム大聖堂の外観。付近は世界各地からの観光客で混み合っていました。

『フランダースの犬』にも登場するルーベンスの作品。フラッシュを使用しなければ、写真撮影も許可されています。

『フランダースの犬』にも登場するルーベンスの作品。フラッシュを使用しなければ、写真撮影も許可されています。

その他、大聖堂の側にはルネッサンス様式の市庁舎とマルクト広場、少し足を伸ばせばルーベンスの家やステーン城などもあり、トラムやバスを利用しなくても、徒歩でゆっくりと巡ることができます。コンパクトなアントワープの街ならではの楽しみ方と言えるでしょう。

 

今回の国際学会では、専門家の方々から多くの刺激を受けることができました。同時に、ベルギーの歴史や文化に触れ、現地の人々とのコミュニケーションを通じて、また新たな気づきがありました。皆さんの中にも、これから海外を目指す方が少なからずいらっしゃると思います。ぜひ、まだ知らない世界に触れて、どんどん見識を広げて頂きたいと思います。

 

大学教員の仕事を見てみよう―国際学会での研究発表(1)イギリス―

月曜日, 8月 17th, 2015

今回と次の記事は、夏休み特別企画として大学教員の仕事の一部をご覧いただきます。大学教員の仕事に「教育」があるのはもちろんですが、それと同じくらい「研究」も重要です。その過程で国際学会に参加することもあります。7月に私(眞田)がイギリスに、水島先生がベルギーに出かけました。そこで、イギリスとベルギーの学会参加と合間の異文化体験の記事を写真と共にお届けします。大学教員の仕事について少しでも知っていただき、現地の様子や写真などを楽しんで頂ければ幸いです。

今回はイギリス出張の記事です。

 

【イギリス出張(眞田)】

今回のイギリス出張の目的は、「第13回国際認知言語学会」への参加でした。国際学会なので、学会会場での言語は英語です。発表も質疑応答もそうです。学生に英語を教える我々ですが、こうして自分でも英語を使い、英語力を落とさないよう努めるのです。

会場のノーザンブリア大学。

会場のノーザンブリア大学。

私は10年以上「英語の助動詞の意味・用法・歴史」に興味を持って研究していますが、今回発表したのは、『~に違いない』という意味のhave toについて。このような意味のhave to自体は既に知られていますが、実際どういう風に使われているかは、私の知る限りほとんど研究されていません。例えば、何が主語に来やすいか(→3人称の無生物主語が圧倒的に多い)、have toの後ろにはどんな動詞が来やすいか(→beが来る用例が実に約7割)。また、この調査結果を良く見ると、助動詞全体に関するこれまでの研究に潜む「問題点」が見えてきます。そのことも議論しました。

 

さて、ここから先は私が体験したイギリスの話です。「日本との文化の違い?」「現地でよく見かけた英語表現」そして「イギリス料理」に話を絞ります。

まず、「日本との文化の違い?」。海外に行くと日本のサービスのきめ細かさを痛感します。例えば、空港から地下鉄で市街地に向かう予定だったのに、なぜか地下鉄は動いていない。空港の社員は代わりの交通手段を教えてくれるものの、日本と違い「謝罪」から始まることはなく、淡々と理由が説明されます。謝罪する動機や頻度等が文化によって違うのでしょう。仕方がないのでタクシーで市街地まで向かったのですが、運転手に地下鉄が止まっている理由を聞いたら、「ここはそういう国だから(笑)」…日本ではまず聞かない一言ですね。

せっかくなので、ホテルに行くちょっと手前でタクシーを下ろしてもらい、街を散策。どこを歩いても建物が美しい。

 

市街地中心部にある「グレイズモニュメント」。

市街地中心部にある「グレイズモニュメント」。

緩やかな下り坂に沿った街並みが美しい。

緩やかな下り坂に沿った街並みが美しい。

壮麗なニューカッスル駅。

壮麗なニューカッスル駅。

ハドリアヌスの城壁が一部市内に残っています。

ハドリアヌスの城壁が一部市内に残っています。

次に、「現地でよく見かけた英語表現」について。写真を撮り忘れましたが、“To Let”という表現をよく見かけました。最初は本気で“Toilet”と見間違えてしまったのですが、これは「空室あります」「テナント募集中」という意味(ちなみにアメリカ英語だと“For Rent”)。辞書でLetを引けば見つかりますが、日本の英語の授業ではまず見かけないですよね。

英語表現からは離れますが、このニューカッスル近辺は、「ジョーディ英語」(Geordie English)という方言が話されています。日本語に北海道弁や関西弁があるように、英語にも方言や訛りがあるのですが、これも日本の英語の授業ではあまり取り上げられないと思います(なお、滞在先は早口の人が多く、聴き取りに苦労しました)。

最後に「イギリス料理」について。あまり評判がよろしくないようですが、私の味覚では「思っていたよりは美味しい」です。例えば、こちらはボリュームたっぷりのイングリッシュ・ブレックファスト(English Breakfast。ちなみに、地方によって呼び名が変わります)。

 

朝食。この時4泊しましたが、全てほぼ同じメニューでした。

朝食。この時4泊しましたが、全てほぼ同じメニューでした。

卵料理、ベイクドビーンズ(実はベイクしていない)、ベーコン、ソーセージ、炒めたマッシュルーム、ベイクドトマト、そしてブラックプディング(プディングですがスイーツではありません)が定番メニューです。味は悪くありません。ただ、ボリュームが多いので飽きます。

それと、定番の「フィッシュアンドチップス」。白身魚のフライにフライドポテト(イギリス英語ではchipsと呼びます。アメリカ英語ではFrench fries)。

 

イギリスでぜひ食べたかったフィッシュアンドチップス。

イギリスでぜひ食べたかったフィッシュアンドチップス。

揚がり具合は私好みでしたが、味があまりついていないので、そのままだと飽きます。ということで、ケチャップ・ウスターソース・塩コショウ・ビネガー(酢)で自分の好きなように味を付けるのです。

 

わずか4泊の滞在でしたが、それでも直接異文化を体験することは刺激的です。今後も、異文化体験の意義深さを私なりに学生に伝えられればと思います。また、今回の研究を通して知ったこと(have toの使われ方)や研究以外の場でも活かせそうなこと(事実を丹念に見ること、他人の言うことを鵜呑みにしないこと)を、講義などで学生に伝え、「研究」成果を「教育」に還元していきたいと考えています。