苦学生の記憶…。

2012年3月26日 | By kasai | Filed in: 就職.

昔はずいぶん凄い苦学生がいました。授業には来るけれども、いつもぐっすり寝込んでいる学生がいたので、あるとき「大丈夫かい?」と授業の後で話しかけたことがありました。半端じゃないくらいしっかり寝込んでいるので、授業中に安易に起こせないくらいだったわけです。
聞いてみると、一日中ほとんどずーっとバイトをしていることが分かりました。夕方に授業が終わると、そのままバイト1。11時頃に終わって次のバイト2。確か、飲み屋か何かでした。それが終わると少し休んでから新聞配達。バイト3。忙しいときはその後にも、つまり早朝も何かやっていたようですが、まあ、寝るのは授業中となるわけです。親が借金を抱えていてそれを返すので…という話でした。
それを聞いて何も言えなくなりました。あとで聞いた話だと、その学生はきちんと卒業していったとのことでした。バイトにあれくらいがんばれるから、勉強も必死にやったのかなあ。

昔、学生のサークルの集まりを私の研究室でやっていて夕方になり、あまり元気のない感じだったので、気まぐれで「一緒にメシにしようか」と食事に行ったことがありました。もちろん、私のおごりです。ふだんはそんなに食事に行ったりしないのですが、どういう訳か一緒に行ったのでした。

数年前、かつてのその学生からはがきが来て、頑張って教師になったとのことでした。たまたま、私の研究室に寄るということになり、久しぶりに会いました。
以前の仕事は不安定だったので、結婚してこどもも居るので頑張って勉強して転職したという話の中で、「そういえば…」と昔の話をし始めました。「…学生の時、食事に連れて行ったもらったときがあって、そのとき一週間近く何も食べていなかった…」。
その頃のことを静かに思い出しながら話してくれましたが、私は全く気がついていなかったので何も言えなくなりました。無言のまま時間が流れていきました。

そういうことがあったのか…。しみじみ。



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