身体心理療法の講義と実習

2012年7月1日 | By kasai | Filed in: 身体心理療法.

4月、5月、6月と前期の三ヶ月が過ぎました。今年から始まった身体心理療法の講義は、毎週金曜日の4講目なので、私は2講目、3講目、4講目と3コマ続きの講義の日です。いつもはそんなに重なっていないのですが、今年は金曜日に3コマも重なってしまい、体力的にかなりシンドイ状態で授業を行っています。年を感じています(^_^;。

プリントを配布して数回程度で説明をする、という内容の他、前々回あたりの2回は、簡単な実習も含めて行いました。「身体心理」最近の英語表現では body-mindと書くよりも、bodymindと一語のように綴るようにもなっています。身体と心理を分離せずに扱いたいという流れもあるわけです。

対人距離、プロクシミックスという領域があります。これは相手との適切な距離について扱うものですが、これを体験的に確認していたのは竹内敏晴氏でした。(竹内レッスンで有名な方でしたが数年前に他界されました)
対人距離について、竹内レッスンの内容を授業の実習でも試してみました。二人で組になり、片方が立ち止まっていてもう一人がその人のところに近づいていく…という簡単な構成です。だいたい、どちらかが笑い出す、噴き出すなどの分かりやすい反応と共に、相手が近づいてある限界距離まで近寄ると、無意識的な反応が出てくるのです。みじろぎやピクッといった反射的な反応などが起きるのです。

おおむね「指先の距離」つまり、腕を相手に伸ばしたときに手の指先が相手にふれるかふれないかくらいの距離が一つの限界的な距離、そのあたりで無意識的反応が出てくる距離…となります。通常の場合、最も近い限界的な距離になります。それ以上近寄られると、ほとんどの人は逃げ出すか、笑い出すか、身をよじるなどで、「それ以上は無理」という身体心理的反応がでるものです。
次に近いのが、「手首の距離」です。腕を伸ばした状態で手首を曲げた程度の距離のことです。「指先の距離」よりもほんのちょっと近いだけなのですが、身体心理的にはかなり明確な反射的な反応が起きる距離です。試してみると分かりますが、「心身共に怖い」距離なのです。実際、武術などでは、そこまでの距離に入る、入られると、相手にナイフで刺されるような危険から逃げられないという絶対的な距離でもあるようです。

いずれにしても、相手が近寄ってくると自分の心身に無意識的な反応が自動的に起きる…ということがあります。その意味では、動物的な反射と言えるものです。体験してみると分かりますが、「身体は自動的に自分自身を守ろうとしている」という感覚に開かれるものです。

「そうなんだ、身体は自分自身が傷つけられたりしないように、きちんと反応するものなのだ」という気づきは大きな意味があります。「私が生きているのは、私という個人的な自我が生きているということなのではなく、身体として生命を生きさせてもらっている」…とでも書くと分かってもらえるでしょうか。

身体として生きて立ち働いている私たちは、「生きていこうとするシステム」として存在していること、これは単なる対人距離の問題を超えて、大きな気づきになると考えています。
「身体心理療法」の授業なので、体験的な内容を取り込むことで理解が進むようにいろいろと工夫しているところです!



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