質問にお答えします-後期第10回-

2013年12月23日 | By mori | Filed in: 心理学(2013年度).

(全文を読む場合はタイトルをクリック) 前回の授業内容に対して寄せられた質問への回答です。

Q1. ゴリラの中でも性同一性障害とかあるのですか? 例えば雄が雄に恋愛感情を抱くなど。

A1. 性同一性障害とはまず何かを、理解しておく必要があります。「生物学的には問題がなく、かつ自分がどちらの生物学的性別に属しているかを自覚しつつも、自分の生物学的性別に違和感を感じている」というのが、性同一性障害の定義です。

ゴリラがこれに当てはまるには、まずそのゴリラが「生物学的に問題がない」といけません。要するに、完全なオス(あるいはメス)の生殖器を有しているということです。これについては判別することができますね。では次です。そのゴリラは、「自分がどちらの生物学的性別に属しているかを自覚」しているか。これは自分に対する知覚である、自己意識がないとできないことです。人間にはありますが、それ以外の動物にあるかどうかは疑問です。もしゴリラに自己意識がないのであれば、自分がどちらの生物学的性別に属しているかを自覚することすることはできないでしょう。

仮にゴリラに性同一性障害があったとしても、どうやって確かめましょうか。あるゴリラが、「自身の生物学的性別を自覚してるか」、そして「その性別に違和感を感じているか」を確かめないといけないのです。

以上のことから、ゴリラには自己意識がない可能性があるので、もしそうなら性同一性障害はゴリラにおいてはあり得ないことになります。またあったとしても、どうやって確かめればよいかわかりません。あなたが挙げている「雄が雄に恋愛感情を抱く」というのは、同性愛ではありますが、性同一性障害ではありません。性同一性障害であれば、生物学的同性に恋愛感情を抱くかもしれませんが、逆に同性に恋愛感情を持っているからと言って、性同一性障害とは限りません。したがって、「雄が雄に恋愛感情を抱く」という行動上の徴候によっては、ゴリラの性同一性障害を見抜くことはできません。

ゴリラを含む霊長類の研究は多くなされているので、そちらの方で考察があるかもしれません。図書館であたってみて下さい。少し古い文献では「サル学の現在」(文春文庫)があります。


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