質問にお答えします-後期第14回-

2014年1月29日 | By mori | Filed in: 心理学(2013年度).

(全文を読む場合はタイトルをクリック) 後期最後の授業の内容に寄せられた質問への回答です。今学期もこれで終わりです。どうもありがとうございました。

Q1. 教育でも、ピアジェの知能の発達段階はよく使用するのですが、感覚運動期第4段階の「物の永続性」という言葉の範囲がいまいち、理解できておりません。

講義で、「物の永続性」とは、ハンカチなどで物を隠し、物が見えなくなっても、物は物として存在することを理解し、ハンカチを取って、物を見つけることができるということを今回、改めて学ぶことができました。

それでは、以前に私が見た、子どもなのですが…、本人が遊んでいたおもちゃを取り上げ、おもちゃに視線を合わせた状態のまま、タオルで隠すと、普段から、そのおもちゃが片付けてある場所まで探しに行くんです。

目の前にあるタオルの中に視線を向けず、いつも片付けてある場所を探す。これは、場所が異なっていても、物は物として存在する「物の永続性」の理解と言えますでしょうか?それとも、その子自身の特徴と言って良いのでしょうか?

A1. 「物の永続性」の獲得は、ピアジェによると4段階を踏みます。第1段階は、物を隠してしまうと、隠すのを見ていても探そうとしない。存在と見えていることが等価な段階です。第2段階は、隠したのを見ていれば、探すことができる段階です。しかし先ほどと違う場所に物を隠すと、新たな隠し場所を見ていたにもかかわらず、先の隠し場所を探します。第3段階は、最後に隠した場所を探すことはできるのですが、物の移動がそのものが見えない状態で行なわれると、正しい場所を探せない段階です。不透明なコップを二つ用意し、両方とも口を下にしてふせますが、一方を伏せる際その中に玩具を隠します(この光景を子供は見ています)。コップを伏せたまま、二つのコップの位置を入れ替えると、子供は先に隠した位置(「コップそのものでなく、さっきと同じ位置にあるコップを」です)のコップのなかを探そうとします。第4段階は、目に見えない移動も考慮して、隠された物を探すことができる段階です。第4段階は大体1歳半以降にやってくるそうです。

授業で挙げた例は第2段階で、あなたが目撃した例も第2段階で、第3段階相当の課題に失敗している例ではないでしょうか。

なおピアジェの理論や思想はいろいろ誤解されているところがあります。ピアジェ理論の正しい理解については、次の本が参考になります。 中垣啓(訳)「ビアジェに学ぶ認知発達の科学」(北大路書房)

Q2. 「いないいないばぁ」といった、「物の永続性」を使った遊びは、他にもありますでしょうか? 大人が抱き上げたり、下ろしたりして、大人の顔が見えたり見えなかったりする、「たかいたかい」も「物の永続性」が関係していますでしょうか?

A2. 「物の永続性」獲得までの各段階の特性を考慮した遊びを探してみて下さい。「たかいたかい」も見えが変わりますので、物の永続性と関係しているかもしれませんが、よくわかりません。ちなみに子供は高い視点をとりがるようで、はいはいからつかまり立ちに移行するのも、歩行の発達というより、高い視線を取りたがることが動因になっているらしいですよ。最近そういうことを言っている人がいました。このことについては、次の方を参照して下さい。 山崎寛恵「運動発達と生態幾何学」(佐々木正人(編)「知の生態学的転回 1巻 身体: 環境とのエンカウンター」(東京大学出版会)に収録されています。)

今日の一句

[その壱]

幼少期 隠された物 見つけれず

[コメント1]

物の永続性の第1発達段階にある子供の様子がよくわかりますね。物の永続性の話を聞いたことがない人にも、何のことだかわかるようになっているともっとよかったと思います。


Comments are closed here.