質問にお答えします-第7回-

2014年11月25日 | By mori | Filed in: 心理学概説(2014年度).

(全文を読む場合はタイトルをクリック) 前回の授業内容について寄せられた質問に対する回答です。

Q1. PTSDについての質問です。PTSDとは、心的外傷後ストレス障害の事ですよね?

では、日常的なストレス(人間関係・何かしら上手くいかないことがあった・地震や雷などの災害・疲労)などで引き起こされる、不眠や体調不良なども、PTSDに含まれますか?

A1. 用語の定義の問題なので、調べてみるとわかると思います。

 

Q2.  先週の授業で、「Kは成人病だ」とありましたが、このKには、夏目漱石の小節、「こころ」で登場するKに関係があるのでしょうか?

A2. どうして両者を関係づけたのかが知りたいですね。 Kさんは、この論文の著者ドロシー・スミスの調査対象者ですが、漱石の著書の登場人物との関係があるかと聞かれると、ちょっと。スミスと漱石の間に何か関係が?  あなたの質問が、「K」という表示から、単に連想しただけということであれば、「デンジャラスK 川田利明との関係は?」とか、「Crystal-Kとも関係があるのか?」なんて質問と同じになってしまいますが。

 

Q3.  正常と異常の境界は時代によって変わると習いましたが、心理学会は何を基準に定めているのでしょうか?

A3. 心理学会って「日本心理学会」のこと? ホームページで確認してみてはいかがでしょうか。なお、日本の臨床心理学者のほとんどは、日本心理学会はとは別の学会を中心に活動しています。「心理臨床学会」と言います。そちらの方も探してみては?

 

Q4.  異常とは他者からの認識であるのかもしれない~の件でアフォーダンスを思い出しました。

『スポーツマン』がプールに30回は泳ぐことをアフォーダンスしても違和感はないが、『一般人』はプールに遊びを求めたり、『レスラー』が机を持ち上げても違和感は無いが『一般人』が『机を持ち上げるもの』と考えていると異常等。世間で言う異常とは 能力や場面を省みない暴走状態ともいえるアフォーダンスのことなのでしょうか?

A4. まず用語の問題から。「アフォードする」とは言いますが、「アフォーダンスする」とは言いません。

「異常」には知覚面(ものの見方、考え方)と行動面(何をするか、言うか)があると思いますが、知覚面の異常をアフォーダンスという用語を使用して定義するならば、「一般の人と異なるアフォーダンスを知覚する人」となるでしょう。暴走しているのではなく、一般と異なることを周りが異常とレッテルを貼ることです。すべて知覚者(異常と言われている当人)の問題ではないというのが、スミスが「Kは精神病だ」で主張しようとしたことです。

 

今日の一句

[その壱] 時により 心の病 ありはせず 理解しがたく 独り苦しむ

[コメント壱] 「理解しがたく 独り苦しむ」のは誰ですか? 心の病が時代相対的であることを理解できず、苦しんでいる人が誰かいるのですか? 解説があると助かりました。

 

[その弐] エリクソン 絶対化した 青年期 主観からまる 調査対象

解説:エリクソンが青年期を絶対化してしまったのは、自分の主観から調査対象者を決めてしまったからではないか。

[コメント弐] エリクソンの青年像が、偏った調査対象に起因することを詠んでくれたのだと思います。しかし、偏ったサンプリング(調査対象を選ぶこと)は「主観」とは言わないのです。「偏ったサンプリングをした」と言います。「主観で対象者を選ぶ」という表現はないと思います。

 

[その参] 勉強が できるからとは 限らない 賢いの意味  さまざまだから

[コメント参] 「賢さ」の定義の時代相対性、社会文化相対性については、もう少し話が続きますので、引き続き注視していて下さい。

 

[その肆] 出れば打ち でなけりゃ劣ると また打ちて 普通が作りし 異常な人達

解説: 平均より出来れば嫉妬もするし、平均より出来なければ異常と他人を見下しだす。

何だかんだで普通なんて言葉があるから大量の異常が産まれるのでは無いでしょうか

[コメント肆] 普通と異常は確かに対になりますが、普通と卓越もまた対語です。普通があるから異常があるとは限らないのですね。なぜ普通でないものが、異常と言われることがあるのかを考えないといけないと思います。

 

[その伍] 普通以上 空気が読めなきゃ それ異常

解説: 普通も空気を読むという概念も曖昧なものなのに それを見極めなければ異常扱いされてしまうのか

[コメント伍] 空気が読めるかどうかが異常か否かを決定する訳ではありません。空気を読むとは、現在の文脈に適合するように自らの行為を調整することと言い換えられると思いますが、普通以上の行動をしている人がこれができないからと言って、すぐに異常と言われるかどうか。先の句にもあったように、普通以上を卓越と呼ぶこともありますね。空気を読めるかどうかにかかわらず、卓越した人は「スゲー」と言われ、異常な人は「ヒデー」と言われるのですよ。結局、異常と卓越を分つものを考えないといけないのです。

 

[その陸] 全人類 足して六十億で割る すれば正常 見えてくるのか?

解説: 正常とは世間一般で定められるモノ。異常とはそこから外れてしまうもの。六十億人の個性を足して割るなりしなければ正常や異常の定義など決められないのではないだろうか。

[コメント陸] 平均が正常なのかと問いたい訳ですね。考えてみて下さい。ナチスドイツでは、多くの人がヒトラーを支持しました。ヒトラー支持が平均だった訳ですが、当時で言えば「それは正常だ」とあなたは思いますか。そうでなければ、平均すなわち正常ということにはならなくなります。北斗の拳で、「ヒャッハー」と言っているモヒカンの人達の例で考えてくれてもいいよ。


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