質問にお答えします-第4回-

2015年5月21日 | By mori | Filed in: 心理学(2015年度).

(全文を読む場合はタイトルをクリック) 前回の授業内容に関する質問に対する回答です。

Q1. 運転の時に、カーブならスピードを落とすと言ったり、ギアを変えると私も運転中言うことがあります。運転中に自己調整発話をしたら安心したりするからです。しかし、人にも自己調整発話を使えたとすると、悪い事などで人を信じさせたり、安心させたり出来るんでしょうか?

A1. あなたが運転中にやっているのは、まさに自己調整発話ですね。さて、いずれ授業でやりますが、自己調整発話の起源は対人的コミュニケーション(特に、養育者と乳児の間の)にあります。他人に対する指示や命令が、自己に適用されるようになるのです。

なお、他人を誘導するのは自己調整発話とは言いません。他人は自己ではないですから。「指示」「示唆」「誘導」などと言います。

 

Q2. 先生がおっしゃていた、「自己調整発話」についてです。恐怖から震えてうまく動くことのできない自分に「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせて、恐怖心をなくすこと(例えば、お化け屋敷に一人で入って途中、恐怖のあまり動けなくなった時に、自分に大丈夫だと言い聞かせてゴールまで進むことなど)も、自己調整発話に含まれるのでしょうか?

教習所で難しい操作をこなすために、口に出して操作を行う、ということを例に出してくださっていて、それとは少しニュアンスが違って来たりするのか、と疑問に思いましたので、質問させていただきます。

A2. 行為のみならず、自らの感情、情動のコントロールに適用される発話も、自己調整発話だと思います。

 

Q3. アフォーダンスを発見できるかどうかは人それぞれの知覚技能による、という講義内容でした。では、俗にいう「おばあちゃんの知恵袋」のようなものも知覚技能の例として挙げることは出来ないでしょうか?例えば、畳を掃除するときには茶殻をまいて掃く(こうすることで埃の舞い上がりを防止し消臭効果もある)といったようなお年寄りの方が私たち若者が知らないような暮らしの中の便利なことを知っているのは、単純に長く生きてきた中で様々な経験をし、色々なもの(この例では茶殻)の持つ行為の可能性を発見したからだ。と説明することが出来るのではないかと思いました。もしそうなら、知恵袋というのは先人たちが獲得してきた行為の可能性の集積であり、とても素晴らしいものだと思います。

A3. 「おばあちゃんの知恵袋」のなかには、知覚技能に関連するものが沢山述べられていると思います。茶殻もそうでしょうね。「ほこりを吸着すること」「臭いを消すこと」をアフォードしていることを、先人が発見して、後世に伝えているのです。他にも、漬け物のつかり加減を知らせる野菜の色とか、味付けなんかもそうでしょう。子育て技術もそうかな。世代を超えて伝承される、行為の可能性や情報の集積でしょうね。あなたのおっしゃる通りだと思います。

「おばあちゃんの知恵袋」だけでなく、およそ「how to 本」と呼ばれるものは、アフォーダンスの存在やその抽出の仕方について述べています。

 

今日の一句

[その壱]

自己調整 つぶやき一つで 変化する

[評壱]

授業を受けていると何となくわかるのだけれど、何が変化するのかが入っていないので、初学者は注意が必要です。変化するのは行為や知覚ですね。そこを補う形で、この句を覚えておいて下さい。


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