質問にお答えします-第11回-

2015年7月29日 | By mori | Filed in: 心理学(2015年度).

(全文を読む場合はタイトルをクリック) 前回の授業内容に対して寄せられた質問への回答です。

Q1. 7月13日の補講時に、Twitterで「嘘をついた時は、行動主義ではどう説明するのだろう」とツイートしました。

ワトソンが提唱した行動主義の立場からすると、私たちの行動は筋肉の運動・腺の分泌で説明することができる。そして、意識内容も説明がつく、ということだったと思います。

嘘をつく時、そこには嘘と本当の事という二重構造ができていると思うのですが、行動主義の考え方をすると、どのような説明がなされるのでしょうか。筋肉の動きや腺の分泌をみて、嘘をついているという事実は説明が可能だと思います。なぜなら、嘘をつく時に人がどんな動きをするかというのはある程度わかっているからです。しかし、嘘ではない本当の事はどう説明されるのでしょうか。

ネットや大学の図書館で調べてみましたが、これという情報を得ることができず、疑問を解消することができませんでした。

A1. まず、嘘という現象の説明ですが、よくできています。「本当」のことを知っていて、それとは違うことを発声する。それが嘘ですね。

しかしそのあとの疑問がよくわからないのですが。行動主義では、この「嘘をつく」という現象をどう説明するのか。これがあなたの関心なのでしょうか。特に、発声した嘘の裏にある、「本当のことを『知っている』」という状態は、行動の言葉で説明できるのか、と。

なかなか面白いところをついていると思いますが、多分ワトソンならこう言うと思います。(1)本当のことを思いつく(行動の言葉で言うと、ある刺激によってある反応が生じる)。 (2)しかしこれとほぼ同時に、本当のことの発声を抑制する刺激(「あることをしない」というのも行動です)と遭遇する。それゆえ、本当のことは、発声を伴わない形で発生する。 (3)またほぼ同時に、「嘘」という発声をともなう行動を生み出す刺激と出会う。そして「嘘」をつく。

実は、この事例の「嘘」も「本当のこと」もオペラント行動なので、ワトソンの説明はこの点でも不十分です。では、オペラント条件づけの事例として、これが十分に語れるかと言うと…..。「嘘」を発声し、「本当」を発声しないという選択を、どう説明するかが鍵でしょうね。前者の方が、話者にとって有利なこと、つまり正の強化を引き起こす強化子であり、後者をすること(本当のことを発声しないでおくこと)が、負の強化となっている。これでどうですかね?


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