質問にお答えします-第12回-

2015年7月29日 | By mori | Filed in: 心理学(2015年度).

(全文読む場合はタイトルをクリック) 7月16日の授業内容に対して寄せられた質問への回答です。

Q1. 今日の講義の、オペラント行動についてです。

よいこと、わるいこと、特に何もない、の3パターンの結果が紹介されていましたが、よいこととわるいこと両方がおこる場合どうなりますか? 必ずいいことが起こる場合よりも、たまにいいことが起こり、ほとんど何もない場合のほうが、その後その行動をとる確率が高いということでした。そこで、「ほとんど何もない」という条件を「ほとんどわるいことが起きる」に変えると、さらに確率があがるのか、それとも下がるのか、純粋に疑問に思ったので、質問しました。

ネコがベルを鳴らす例で、鳴らすとエサをあげるという行動と、鳴らすと大きな音を出す(ネコにとって悪いこと)という行動を交互に行うと、その後そのネコがベルを鳴らす確率は上がるか下がるか、どう考えられますか?

A1. よいことと悪いことが両方起きるとは、同時に起きるという意味でなく、同じ弁別刺激下における同じオペラント行動に対して、あるときはよいことが、あるときは悪いことが起きるという意味ですね。その前に「たまにいいことが起こり、ほとんど何もない場合のほうが、その後その行動をとる確率が高い」とは多分言わなかったと思います。よいことと悪いことの比率がどの程度のとき、最大の強化となるかは実際に実験してみないとわかりません。あなたの書き方だと、よいことの比率が結構小さいときに、最大の強化が生じると言っているように読めますが、それは言いすぎです。

さて、本題に戻ります。ある弁別刺激のもとで、すなわちこの状況で、この行動がよいことをもたらすか、悪いことをもたらすかが一貫しない場合どうなるでしょうか。言葉を返ると、同じときに同じことをしても、ある場合は報酬(ごほうび)が得られ、ある場合には罰を受ける。報酬と罰の比率によるでしょうね。報酬の比率が高ければ行動するだろうし、罰が高ければやらない。また報酬と罰がどの程度のものであるかにもよります。いわゆるコストパフォーマンスとかリスクとリターンの比率とかいう話でしょう。正確にどうなるかは、実験してみないとわからないです。日常に同様の場面を探し出して、あなたがどうするか考えてみるのも面白いと思います。気分に波がある友人に声をかけるかどうか。にこやかに応対してくれるときと、機嫌が悪く素っ気ない応対をされるときがある。あなたらなどうします?

あなたがここで想定してくれたようなケースは、確かにあり得ますね。よい日常観察だと思います。

 

Q2. 今回はオペラント行動について、思ったことがあるので質問させていただきます。

オペラント条件付けは、どんなときに何をすると、何を得るのか、という構造から成り立っていると習いました。そこで、今回ビデオを見て感じたのが、ベルを鳴らせば餌がもらえる、peckでつつき、turnなら回れば餌が貰える。

このような実験では、行動を呼び起こすことは機械的で、画一的なものになりませんか?つのるところ第一に思ったことが、この行動パターンの導きが決められたものになってしまっていないか、ということです。

自発的に行動はしていますが、どこか能動的な印象を持ってしまいます。特別な刺激を与えて、してほしい行動をさせる、そんな感想を抱きました。

A2. 最後の方に「どこか能動的な印象を」とありますが、話の文脈から言って「受動的な」ではありませんか。

オペラント行動は条件づけられていない場合でも出ますから、この意味で自発的です。条件づけられると発生がコントロールされ、いつ行動するか、しないかがまさに画一的になっていきます。「行動パターンの導き」という表現はないと思いますが、行動がパターン化して、自発的にやっているように思えないということを言いたいのでしょうね。オペラント条件づけは、条件づけの対象者(動物)に訓練者がしてほしいときにしてほしいことをさせる技術でもあります。あなたの感想通りです。こういうものなので、人間の自由意志を守りたい人から、スキナーは嫌われています。「自由だと思っていても、あなたはオペラント条件づけでコントロールされていますよ」、というメッセージを彼の学説が送るからです。

 

Q3. 些細なことなのですが、人はよく同じ過ちを繰り返してしまいがちです。具体例が上手く思い浮かばないのですが、何かをして良くないことが自分にあったにも関わらず、また同じことをしてしまう。弁別刺激を踏まえて考えるならば、本来なら行動の頻度は下がると思います。しかし、また繰り返し同じことをしてしまう。悪い結末になることを知っていても、その行動をしてしまうことは、「慣れ」や「癖」があるからしてしまうのでしょうか?

A3. 行動が生じるのであれば、強化があると考えるのが自然です。「よくないこと」は本当によくないことでしょうか。例えば、あることをしたら先生に叱られるが、友人の目を引くことができるとしたら、どうですか。また、「よくないこと」は生じるが「さらによくない別のこと」を避けられるとしたらどうですか。先生には叱られるが、級友からのいじめは回避できるとしたら。

多分あなたには、思い当たる事例があるはずです。その場面をよくよく解剖してみてはどうでしょうか。

 

Q4. オペラント行動についての質問です。

右手で開けても左手で開けてもドアを開けることに変わりない、結果が同じなら過程が違っても同じこと、と私は理解しました。例えば、自分が殺したい相手Aがいたとします。この場合Aを直接自分が殺すことと、他人に頼んでAを殺すことは同じことと考えます。これはオペラント行動になるのでしょうか。それとも、自分自身の行動の範囲だけが、オペラント行動になるでしょうか。

A4. 「結果が同じなら過程が違っても同じ」オペラント行動です。授業で話したことをちゃんと理解されていると思います。あなたの挙げている例と類似のことは、授業で言ったと思います。左手で開けても、右手で開けても、受講生の誰かに頼んで開けてもらっても、同じオペラント行動であると。

 


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