川合増太郎:教員紹介

研究領域
ドイツ文学の中でも19世紀末から20世紀の始めにかけてチェコのプラハで活動したカフカというユダヤ人作家を研究してます。『変身』という作品で有名です。経済的成功を求めてドイツ人社会と繋がろうとして、自らユダヤ人であることを忘れようとし、被支配者階級のチェコ人から敵視されて、居場所が無くなった、当時のユダヤ人の状況との関係を中心にカフカの作品を研究しています。また、当時は東ヨーロッパからロシアにかけてユダヤ人の生活言語であるイディッシュ語を用いた演劇が盛んになり、そういう旅回りの劇団がプラハにも公演に来て、それを見たカフカはこのイディッシュ劇と劇団員との交流を通して多大な影響を受けているので、このイディッシュ劇の当時の状況や東ヨーロッパやロシアに残っていた昔ながらのユダヤ人の生活や伝統、社会の状況なども目下の研究の対象です。

担当科目とゼミのテーマ、活動、行事など
ドイツ語の他、「人間と文学」を担当しています。この科目では文学の起源や古代から現代にいたるまでの文学の状況、いかに読み継がれ、享受され、社会に必要とされたか、近・現代の作家は何故作家になり、何を書くことに求めているのか、その人となりどうか、書く行為や読む行為にはどのような意味があるのかを考えています。村上春樹がアメリカの大学の講義の中で、自分の作品の意味を聞かれた時に「僕にも分からない」と言っているように、良い作品には作者の意図を超えた部分が必ずあります。カフカの作品も自分探しの側面があります。また、『源氏物語』は当時の読者が作品を書き写しながら、自分も創作に加わって楽しみ、原文を勝手に変えて書き写していたりしました。鎌倉時代に藤原定家という人が今の形にまとめる時に写本が沢山あり、内容がずいぶんと異なっているので、『名月記』という日記の中で嘆いています。そういうことも講義に取り入れています。
ゼミのテーマは「文学と人間および人間社会との関わり」で、講義では概論的にしか触れられないものを具体的な作家や作品を通して緻密に読みといていく作業をしています。なるべく沢山の作家を取り扱う為に、2回のゼミで読み終われる作品に絞っています。太宰治、芥川龍之介、夏目漱石、坂口安吾等の短編が中心になりますが、学生さんの希望を入れて現代のものも取り入れています。学生さんにレジュメを用意してもらい、表現の一つひとつにこだわりながら読んで、討論をして、他の人はどう理解してるのか、を参考にしながら、表現されたものの背後にあるものも解明していきます。
ゼミのコンパもなるべく多く行い、夏休みにはゼミ合宿を行って勉強し、同時にお互いの親睦を深めています。
3年生の1月からは就職指導にも特別に力を入れて支援しています。文学系のゼミなので女子が多いですが、昨年の就職率は80%、1昨年は70%でした。