川合増太郎:教員紹介(2010/4更新)

研究領域
ドイツ文学の中でも19世紀末から20世紀の始めにかけてチェコのプラハで活動したカフカというユダヤ人作家を研究してます。『変身』という作品で有名です。法律上は差別がなくなったカフカの父親たちは経済的成功をおさめようとしてユダヤ人であることを捨て、年に4日の重要なユダヤ教の祭りがある時だけシナゴーグと言われるユダヤ教会を訪れただけでした。カフカたちはユダヤ人でありながら、ユダヤ人としての中身も文化、言語、宗教、社会も持たない根なし草でした。同時に、プラハで被支配者階級のチェコ人から敵視され、ドイツ人からも同化を拒否されて居場所もなく、必死に自分探しをしなければならなかった、当時のプラハのユダヤ人の状況やカフカと彼の作品を研究しています。また、東ヨーロッパからロシアにかけてユダヤ人の生活言語であるイディッシュ語を用いてユダヤの伝統を守って暮らしていました。イディッシュ演劇が盛んになり、旅回りの劇団がプラハにも公演に来て、カフカはこれを見、イディッシュ劇と劇団員との交流を通して始めて自分のユダヤ性を確認しまし、大きな影響を受けました。、この劇や当時のプラハの状況、東ヨーロッパやロシアに残っていた昔ながらのユダヤ人の生活や伝統、社会の状況がカフカに与えた影響も研究の対象です。

担当科目とゼミのテーマ、活動、行事など
ドイツ語の他、「人間と文学」を担当しています。この科目では文学の起源や古代から現代にいたるまでの文学の状況、いかに読み継がれ、享受され、社会に必要とされたか、近・現代の作家は何故作家になり、何を書くことに求めているのか、その人となりどうか、書く行為や読む行為にはどのような意味があるのかを考えています。村上春樹がアメリカの大学の講義の中で、自分の作品の意味を聞かれた時に「僕にも分からない」と言っているように、良い作品には作者の意図を超えた部分が必ずあります。カフカの作品も自分探しの側面があります。また、『源氏物語』は当時の読者が作品を書き写しながら、自分も創作に加わって楽しみ、原文を勝手に変えて書き写していたりしました。鎌倉時代に藤原定家という人が今の形にまとめる時に写本が沢山あり、内容がずいぶんと異なっているので、『名月記』という日記の中で嘆いています。そういうことも講義に取り入れています。
ゼミのテーマは「文学と人間および人間社会との関わり」で、具体的な作家や作品の行間を読みといていく作業をしています。なるべく沢山の作家を取り扱う為に、2回のゼミで読み終われる作品に絞っています。太宰治、芥川龍之介、夏目漱石、坂口安吾等の短編が中心になりますが、学生さんの希望を入れて現代のものも取り入れています。
ゼミのコンパもなるべく多く行い、夏休みにはゼミ合宿を行って勉強し、同時にお互いの親睦を深めています。今年は韓国からの留学生2名もゼミに入っています。
就職支援はエントリーシート、自己PR書の書き方の指導等も強力に行っています。

(川合先生は2016年3月に退職しました。)