人文学部公開講座が開催されました

「人間と宗教、宗教とは何か」を総合テーマにして、人文学部公開講座(人間論特殊講義)が8月22日(月)から5日間、講師が日替わりで開催されました。多くの学生と市民の熱心な参加により、充実した公開講座になりました。特に今年度は宗教がテーマであったせいか、例年よりも多くの市民の参加があり、各講師の講義も熱のこもったものになりました。


本講座を通して、私たちの日々体験している「宗教文化」が共通の焦点になりました。教育、芸術、生命倫理、スピリチュアルなどにおいて宗教の果たしている意味が問われました。感想文を読むと、普段はあまり宗教に関心をもっていなかった受講生も、身近に体験している宗教文化について自覚的に関心をもつようになった、と講座の意義を述べています。本講座が改めて宗教について広く深く考える機会になったとすれば、企画した者としてはそれだけでも本講座の大きな成果であったと思います。たとえ宗教に対して批判的であれ、今後も宗教文化に対する敬意を培っていきたいものと考えます。


コーディネーター:杉山吉弘(人文学部 教授)

韓国からの留学生の追い出しコンパを行いました。(川合ゼミで)

昨年四月に東国大学ソウル校の金ボラさんと釜山の東亜大学の朴ジュヒョンさんがゼミに入ってきてくれました。川合ゼミは主として日本文学を題材にしながら、一字一句に拘わり、文章の裏側までを読み取るようにしていますが、今回の留学生はプリントを事前によく読み、ゼミの中でも日本人が顔負けするほどに発言し、和気あいあいと充実したゼミになるのに大きな貢献をしてくれました。
 竹島問題で韓国を良く思っていなかったゼミ長が、今年の後半から東国大学に交換留学を希望するようになり、今は一生懸命韓国語の習得に務めています。そうした雰囲気の中、過去の歴史問題や領土問題を乗り越えて、自然と文化交流を引き続き行っていこうというゼミ員の強い希望が表われ、ゼミ生の中から自然発生的に彼女たちが帰国する前に追い出しコンパを行おうという機運が出て、最後の追い出しコンパを実施することになりました。韓国の大学の新学期が3月からなので、2月の試験後それぞれの都合によって、2月12日から28日の間に帰国をします。
 以下はその写真ですが、札幌の名残にと2次会は飲みにはいかず、彼女たちには初めてのラーメン横丁に行き、店の御主人のうんちくを聞きながら(聞かされながら)、醤油、塩、味噌のラーメンを味わってきました。うんちくを長々と語る御主人が作るラーメンだけあって、大変おいしいものでした。こんなことも彼女たちの日本留学の思い出に残ってくれることでしょう。

追い出しコンパの様子


左 東亜大学の朴ジュヒョンさん、 右 東国大学 ソウル校の金ボラさん


ポールタウンでの留学生


うんちくを語ってくれた御主人の撮影


 また、恒例化しましたが、韓国からの留学生全員が2日間にわたって、札幌市立本郷小学校にいき、韓国の文化を紹介する授業を昨年11月に行いましたので、その写真も載せさせておきます。彼女たちは前日の明け方まで準備して、様々な学年の生徒たちに教え、大好評だったようです。生徒たちにも慕われ、休み時間もこどもたちに追われて、休む間もなく随分苦労をしたようですが、これも本当に得難い経験で良い思い出になったことと思います。なお、本郷小学校には本学のこども発達学科の1期生がいました。

本郷小学校で生徒たちが留学生にお礼を述べているところ。左から金ジヒョンさん、朴ジュヒョンさん、金ボラさん、イ・スルさん

川合ゼミが洞爺湖でゼミ合宿を行いました。

今年は12名のゼミ員全員が参加して、9月23日・24日の一泊二日で洞爺湖で合宿を行いました。全員参加というのは過去に経験したことのないことです。
23日はかなり冷え込んで、24日の朝、羊蹄山を見てみると、初冠雪をしていました。温泉を楽しんだ翌日は、幸いにも好天に恵まれ、有珠山ロープウェーで昭和新山側から有珠山に移り、外輪山を巡り、噴火の後も生々しく、茶色の山肌を見せたまま今でもなお盛んに噴煙を上げている噴気口がいくつもある山容に、ゼミ員一同圧倒され、自然の威力の強さを体感したようでした。韓国には活火山が殆どないそうで、従ってこういう景色を見たことのない、東国大学と東亜大学の留学生の二人が盛んにこの風景に感動していました。こうした体験がきっと留学の良い思い出になってくれると思えば、それだけでも洞爺湖に合宿に来ただけの価値があるというものです。

留学生の金ボラさん(左)と朴ジュヒョンさん(右)

また、有珠山の見晴台からは昭和新山、洞爺湖が、外輪山の階段を下ったり登ったりする登山道にある展望台からは、伊達、室蘭、噴火湾を隔てて八雲まで見渡せる絶好のビューポイントでした。

勉強をするというよりゼミ員の親睦を目的とした合宿となりましたが、温泉を楽しみ、有珠山の山容と景色を堪能し、帰りの大学バスではみんな疲れて眠ってしまいました。
前年、帰りにどこも食堂がなく、ひもじい思いをしながら、定山渓まで我慢を強いられたことがあるので、温泉街にある本学の教務課職員の縁戚筋に当たるレストラン『望羊亭』に予め頼んでおき、大分奮発をしてもらったお弁当に舌鼓を打ちました。

(川合)

川合増太郎:教員紹介(2010/4更新)

研究領域
ドイツ文学の中でも19世紀末から20世紀の始めにかけてチェコのプラハで活動したカフカというユダヤ人作家を研究してます。『変身』という作品で有名です。法律上は差別がなくなったカフカの父親たちは経済的成功をおさめようとしてユダヤ人であることを捨て、年に4日の重要なユダヤ教の祭りがある時だけシナゴーグと言われるユダヤ教会を訪れただけでした。カフカたちはユダヤ人でありながら、ユダヤ人としての中身も文化、言語、宗教、社会も持たない根なし草でした。同時に、プラハで被支配者階級のチェコ人から敵視され、ドイツ人からも同化を拒否されて居場所もなく、必死に自分探しをしなければならなかった、当時のプラハのユダヤ人の状況やカフカと彼の作品を研究しています。また、東ヨーロッパからロシアにかけてユダヤ人の生活言語であるイディッシュ語を用いてユダヤの伝統を守って暮らしていました。イディッシュ演劇が盛んになり、旅回りの劇団がプラハにも公演に来て、カフカはこれを見、イディッシュ劇と劇団員との交流を通して始めて自分のユダヤ性を確認しまし、大きな影響を受けました。、この劇や当時のプラハの状況、東ヨーロッパやロシアに残っていた昔ながらのユダヤ人の生活や伝統、社会の状況がカフカに与えた影響も研究の対象です。

担当科目とゼミのテーマ、活動、行事など
ドイツ語の他、「人間と文学」を担当しています。この科目では文学の起源や古代から現代にいたるまでの文学の状況、いかに読み継がれ、享受され、社会に必要とされたか、近・現代の作家は何故作家になり、何を書くことに求めているのか、その人となりどうか、書く行為や読む行為にはどのような意味があるのかを考えています。村上春樹がアメリカの大学の講義の中で、自分の作品の意味を聞かれた時に「僕にも分からない」と言っているように、良い作品には作者の意図を超えた部分が必ずあります。カフカの作品も自分探しの側面があります。また、『源氏物語』は当時の読者が作品を書き写しながら、自分も創作に加わって楽しみ、原文を勝手に変えて書き写していたりしました。鎌倉時代に藤原定家という人が今の形にまとめる時に写本が沢山あり、内容がずいぶんと異なっているので、『名月記』という日記の中で嘆いています。そういうことも講義に取り入れています。
ゼミのテーマは「文学と人間および人間社会との関わり」で、具体的な作家や作品の行間を読みといていく作業をしています。なるべく沢山の作家を取り扱う為に、2回のゼミで読み終われる作品に絞っています。太宰治、芥川龍之介、夏目漱石、坂口安吾等の短編が中心になりますが、学生さんの希望を入れて現代のものも取り入れています。
ゼミのコンパもなるべく多く行い、夏休みにはゼミ合宿を行って勉強し、同時にお互いの親睦を深めています。今年は韓国からの留学生2名もゼミに入っています。
就職支援はエントリーシート、自己PR書の書き方の指導等も強力に行っています。

(川合先生は2016年3月に退職しました。)

奥谷ゼミが地球環境問題と環境倫理学をテーマとするゼミ合宿を行いました

奥谷ゼミは地球環境問題と環境倫理学をテーマとし、一年に二度のゼミ合宿を行っています。6月には天売・焼尻島で、今絶滅にひんしているオロロン鳥を初めとする海鳥保護の現状と課題を学習しながら、海岸に漂着するゴミの調査と清掃をします。ポイ捨てされたゴミが今世界中から日本の海岸に大量に流れついていて、その量の多さにびっくりしながら、環境問題の深刻さを実感します。9月は釧路湿原で、日本最大の湿原を観察するとともに、湿原再生の活動を行っているNPO法人に協力して、ドングリの実を植えたり、鹿の食害から苗を守るための囲い作りに汗を流します。ただ理論のうえで知識として環境問題を学ぶだけでなく、そのうえで実際に環境問題を自分たちの肌で体験し、さらに環境保護のためのさまざまな活動に積極的にかかわっている奥谷ゼミは今や人間科学科の人気ゼミのひとつです。写真は天売港付近で海岸清掃しているところです。奥谷ゼミ天売島合宿

就活セミナーを活用し1月末に就職内定した佐藤友姫さんを紹介します

「夏休み明けに、周りが、まだ就職活動について重要視していなかった時に、「就活」についてイメージが全くつかなかった私は、「就職活動の流れや感覚を先に掴んで慣れておきたい。」と考えて、ある就職活動のセミナーに参加しました。
e4bd90e897a4e38080e58f8be5a7abe38195e382931a そのセミナーは、就職活動前の学生を対象に開催されています。登録してセミナーの申請をすれば誰でもが無料で参加できます。二年生も来ていました。
 講師のかたは、「最新の脳化学メソッドを取り入れた、自分が幸せになれる就職活動方法」を提示していて、毎年多くの内定者を出しています。「就職活動は努力ではなく、センス」や「幸せ内定と不幸な内定」など、学生がドンドン就職活動に意欲を燃やし、入社後も毎日楽しく仕事をして行く為のノウハウを教えてくれます!このセミナーを受けるのと受けないとでは、後で確実に差が開いていく事は瞭然です。このセミナーを受けると、企業の方からは好印象ですし、自信も付きますし、社会に出るのが楽しくなります(o^o)。
 企業訪問は、これもまた、同じセミナーのイベントで「企業レポート」という、参加者全員で企業に訪問し、質問をしていくという、ものでした。企業は様々で、飲食、卸売、アミューズメント、車、など様々な企業の方と触れあえるので、質問力向上と社会マナーを得る事ができました。それに、業種を絞らずに見てきたので、視野は広がるし、社会人とのコミュニケーションも円滑になり、個人的に「選考会」に来て欲しいと言われますよ(笑)
 夏休みに参加したインターンシップも面白かったですが、このセミナーに参加したことが、就職活動で一番役に立ち、就職活動に対する考えが180度変わりました。そのおかげで、楽しく自分に合った価値観の企業を探したい!と思うようになり、色々と企業訪問や業種の合同説明会に行き、「様々な価値観」に触れたりしました。
e4bd90e897a4e58f8be5a7abe38195e38293efbc93a 三年生の皆さんにして頂きたい事は以下の3つです。

  1. 周りに流されず、早くからセミナーなどに参加してみる。⇒周りと同じ時期にスタートすると倍率が高くなる。早くから場数を踏んでおけば、楽に内定は出ます。
  2. 人や大学、インターネットの情報より、自分で直接企業訪問するのが正解。人の意見や情報は、真実ではない。惑わされず自分で直接確かめる事が幸せ就職の近道。
  3. 何の仕事をしたいかではなく、「自分は社会に出てどんな風にありたいのか」イメージする。 ⇒(例)社員同士仲良く仕事をしたい⇒実は業種より雰囲気重視をしていた事に気付く。社風を重視して就職活動に励める。

 就職活動は、面白いです!色々な企業さんの考え方があって新鮮です(^^)。それもこれもセミナーのおかげです。皆さんも是非参加して見てください!就活に対する考え方が変わります。」e4bd90e897a4e38080e58f8be5a7abe38195e38293efbc92a

(文責 川合 増太郎)

人文学部創立30周年記念講演・シンポジウム

2008年11月8日、本学人文学部創立30周年を記念する行事が開催されました。前日から大荒れの天気で当日も心配されましたが、午前中の講演会には250人、午後のシンポジウムには150人の参加者があり、まずまずの状況でした。当日は、午前10時半から奥谷浩一人文学部長の開会挨拶があり、引き続いて東京農業大学教授(元東大大学院教授)の石弘之先生による「地球と人類の未来」と題する記念講演が行われました。

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石先生は、現在人類の未来を脅かしている問題のうち、新型インフルエンザウィルスの脅威と食料危機のふたつの問題を取り上げてお話されました。石先生は、まず最初の問題にかんして、最近は特にトリインフルエンザ、つまり、本来鳥にしか感染しないウィルスが豚のなかで組み替えられて人に感染力をもつようになった恐ろしいウィルスがこれから世界的に猛威をふるう可能性があり、その背景には鳥や豚などの畜産の拡大と地球環境の悪化があることを指摘されました。続いて、我が国が自国の農業をなおざりにし、食料の多くを外国からの輸入に頼っているために、地球温暖化や石油高騰などの影響をまともに受けやすく、また地球温暖化、世界人口爆発などによって今後10年以内に世界的な食糧危機がくる可能性があり、その備えをすることの必要性を力説されました。
午後のシンポジウムは、「家族・学校・地域の再生を考える」を共通テーマとして行われ、まず三人のパネラーからそれぞれ報告がありました。
最初に北翔大学大学院教授の村瀬嘉代子先生が「自らも生き、周囲をも生かす」と題して、現在は生産効率の重視や合理化によって家庭や地域社会のいろいろな場面で人間関係が希薄になったり崩壊したりする現象が見られるが、こういう問題の解決にあたっては、人間を二人称や三人称で見るのではなく、一人称、つまり相手と自分とを同化して、相手の立場や気持ちを自分に置き換えて考える視点が重要だとお話されました。
続いて、関西学院大学教授の才村純先生から、「子ども虐待防止の視点から」と題する報告があり、最近は子ども虐待の相談件数が増加しているが、その背景には核家族化の進行によって子育て経験のない親が増えていること、家庭が変貌していることがあり、これに対して子育てを社会全体がバックアップしていくことが必要だと強調されました。
最後に、札幌学院大学教授の安岡譽先生が「家族における人間の再生」と題して、精神科医の立場から報告されました。本来家庭は、人間が自我を形成するとともに愛憎のなかでさまざまな人間関係を学んでいく重要な場だが、最近は子どもの心のなかを見ようとしない親や子不幸な親がいたり、子どもに無意識のうちに自分の考えを押し付ける親が増えて、家族が解体現象を起こしているが、こういう問題に対処するには、心の温かみをもつこと、人間が矛盾する存在であることに気づくこと、そしてこうした気づきを誰もが共有し、人間の矛盾を暖かい眼差しで見守ることが必要だと話されました。

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講演とシンポジウムの終了後のアンケートでは、いいお話で感銘を受けた、いろいろと考えさせられた、視野が広がった、大変参考になったなどの感想が寄せられ、ふたつともきわめて好評をもって受け止められていることがわかりました。したがって、今回の催しは、人文学部創立30周年にふさわしい内容であったといって差し支えないと思います。

杉山吉弘:教員紹介

専門は哲学です。特に現代フランス哲学。私にとっての哲学とは、一つの学問というよりは、生と死とか友愛、性、病気、共生、倫理といった人生にとってとても大切な具体的な問題を問題として胸の中に深く抱き続け、考え続けることです。
ところではるか遠い昔、私の大学生時代は読書とサッカー部の活動で眠る時間も惜しむ毎日でした、と一応言っておきましょう。大学1年生ではりきっていたときの最初の夏休みに、フランスの詩を原文で読みたくて、ほんの少し文法だけフランス語を自分で勉強しました。読書による思索癖が昂じて、理系の学部に入ってから文学部の哲学科に転部したとき、思い切ってフランス語テキストを用いていたゼミに出席したのが、その後フランス哲学を専門の仕事にすることになる最初のきっかけになりました。もし1年生の夏にフランス語を上っ面だけでも齧っていなかったら、今の私はいません。思えば人生は不思議な偶然の出合いで織り合わされ、目的や利益を計算して成り立つわけではありません。その時そのときに何かに打ち込むことが、振り返れば一つの道になっているかのようです。
主な講義は「フランス語」と「人間科学と倫理」で、「専門ゼミナール」と「卒論指導」も担当しています。私の最近の関心は、大きく言うと、人間にとっての自然と広い意味での技術(人間の技、工夫)との関係、もう少し詳しく言うと、自然のなかで生きる人間のいのちの在り方と技術、倫理との関係を考えることです。
「人間科学と倫理」の講義では、生命科学や人間諸科学における技術と倫理の問題を、ギリシャ神話のエディプスやプロメテウス、そしてフランケンシュタインなどを題材にして考察しています。生命倫理、エイズ問題、セクシュアリティ、異常と正常なども私にとって大切なテーマです。要するに、多様な技術によって創造された人間世界のなかで各人が自分のいのちをどのように受けとめるかが問題なのですが、自明な解答などありません。
3年生の「専門ゼミナール」も〈生命—技術—倫理〉の人間的関係を考えることが主なテーマです。ゼミでは学生同士の対話を通してのコミュニケーション能力や問題設定能力の向上を重視して、私自身はなるべくおしゃべりしないように努めています。就職の際にもっとも求められるのがコミュニケーション能力であることを知っていますか。毎年夏休みには合宿を行ないますが、私自身が愉しみにしています。ゼミの学生とは4年生になっても卒論指導で付き合いが続きます。
最後に一言。学ぶことが何の役に立つかは学ぶ最初からはっきりとは分かりません。その後の生き方が、学んだことの意義を確定するのだと思います。ですから私にとって学生との出会いとは、一人ひとりの学生の豊かな未来への備えを支援することなのです

川合増太郎:教員紹介

研究領域
ドイツ文学の中でも19世紀末から20世紀の始めにかけてチェコのプラハで活動したカフカというユダヤ人作家を研究してます。『変身』という作品で有名です。経済的成功を求めてドイツ人社会と繋がろうとして、自らユダヤ人であることを忘れようとし、被支配者階級のチェコ人から敵視されて、居場所が無くなった、当時のユダヤ人の状況との関係を中心にカフカの作品を研究しています。また、当時は東ヨーロッパからロシアにかけてユダヤ人の生活言語であるイディッシュ語を用いた演劇が盛んになり、そういう旅回りの劇団がプラハにも公演に来て、それを見たカフカはこのイディッシュ劇と劇団員との交流を通して多大な影響を受けているので、このイディッシュ劇の当時の状況や東ヨーロッパやロシアに残っていた昔ながらのユダヤ人の生活や伝統、社会の状況なども目下の研究の対象です。

担当科目とゼミのテーマ、活動、行事など
ドイツ語の他、「人間と文学」を担当しています。この科目では文学の起源や古代から現代にいたるまでの文学の状況、いかに読み継がれ、享受され、社会に必要とされたか、近・現代の作家は何故作家になり、何を書くことに求めているのか、その人となりどうか、書く行為や読む行為にはどのような意味があるのかを考えています。村上春樹がアメリカの大学の講義の中で、自分の作品の意味を聞かれた時に「僕にも分からない」と言っているように、良い作品には作者の意図を超えた部分が必ずあります。カフカの作品も自分探しの側面があります。また、『源氏物語』は当時の読者が作品を書き写しながら、自分も創作に加わって楽しみ、原文を勝手に変えて書き写していたりしました。鎌倉時代に藤原定家という人が今の形にまとめる時に写本が沢山あり、内容がずいぶんと異なっているので、『名月記』という日記の中で嘆いています。そういうことも講義に取り入れています。
ゼミのテーマは「文学と人間および人間社会との関わり」で、講義では概論的にしか触れられないものを具体的な作家や作品を通して緻密に読みといていく作業をしています。なるべく沢山の作家を取り扱う為に、2回のゼミで読み終われる作品に絞っています。太宰治、芥川龍之介、夏目漱石、坂口安吾等の短編が中心になりますが、学生さんの希望を入れて現代のものも取り入れています。学生さんにレジュメを用意してもらい、表現の一つひとつにこだわりながら読んで、討論をして、他の人はどう理解してるのか、を参考にしながら、表現されたものの背後にあるものも解明していきます。
ゼミのコンパもなるべく多く行い、夏休みにはゼミ合宿を行って勉強し、同時にお互いの親睦を深めています。
3年生の1月からは就職指導にも特別に力を入れて支援しています。文学系のゼミなので女子が多いですが、昨年の就職率は80%、1昨年は70%でした。

奥谷浩一:教員紹介

専門とする研究領域
哲学と倫理学を専攻しています。哲学にかんしてはこれまで古代ギリシャと近現代ドイツの哲学を勉強してきました。ここしばらくは「哲学的人間学」という分野を研究し、現在のわれわれが諸科学の人間研究の成果のうえに立ってどういう人間観をもつべきなのかを考えています。倫理学にかんしては現代の応用倫理学、とくに今ホットな議論の対象となっている生命倫理学、それに環境倫理学に関心をもっています。

担当する専門科目
人間科学基礎論という人間科学科の最重要の必修科目を担当しています。そこでは、人間科学とはどんな学問なのか、その歴史や我が国における現状・課題、人類が21世紀に直面している諸問題についての講義をしています。そのほかに、哲学者の人間論を順次取り上げて解説する哲学的人間学、人間と自然環境との間の倫理的規則を考える環境倫理学、江戸時代の日本の思想家を論ずる日本思想論などを担当しています。

ゼミの活動
ここしばらく「自然生態系の危機と環境倫理学」というテーマでゼミをやっています。北海道は一見すると自然が豊かだと思われていますが、その自然生態系に今危機が忍び寄っています。その現状を一年に2回のゼミ合宿で視察・調査しながら、われわれがその自然にどうかかわって共生していかなければならないのかを考えています。6月の天売・焼尻島合宿では海鳥保護の学習と海岸の漂着ゴミの清掃、9月の釧路湿原合宿では、湿原の保護についての学習と湿原再生のお手伝いをしています。そのほかに、奥谷ファームでの農業体験では、ジャガイモやトウモロコシをゼミ生自身が無農薬で栽培して収穫し、自分達で味わうという贅沢なことをしています。奥谷ゼミの秋の収穫祭はすごいですよ!そのほかに私の自宅で行う2カ月に一度のコンパも奥谷ゼミの名物です。

そのほかのメッセージ
趣味は登山とクラシック音楽などですが、最近は忙しくてあまり山にもコンサートにも行けず、自分の畑での無農薬野菜の栽培と料理で気をまぎらわしています。中華料理が得意です。意外にアウトドア派で、自然観察指導員の資格をもっており、自然観察会ではガイドとしても活動します。学外では自然保護協会の常務理事として活動し、札幌市と江別市の生涯学習活動のプランナーでもあります。単著には『哲学的人間学の系譜』梓出版社、編著には『北海道と環境保護』札幌学院大生協、共著に『環境思想キーワード』青木書店、『ヘーゲル事典』弘文堂などがあります。