大澤真平:教員紹介

年度途中の10月から札幌学院大学に赴任することになりました。社会福祉論や児童福祉論が専門で、特に貧困に育つ子どもや若者の問題を考えています。以前は、高校教員として進路指導の仕事をしていました。その時に、家庭の経済的な問題が子どもの人生選択に大きく影響しているという事実を痛感し、少しでも次世代の子どもの可能性を開くことができればと思い、研究の道に進みました。
具体的には、家族という枠組みのもとで生じている貧困・不平等を前提に、その中で子どもや若者が何を感じ、何を考え、どのように未来を思い描いているのかといった視点から研究を行っています。そして、それを中心に児童虐待や若者の自立といった家族に関わる問題と、学校生活やスクールソーシャルワーク、進学機会といった学校に関わる問題を考えています。もちろん、その背景には社会的公正の実現という関心があります。将来的には、研究と実践をつなぐ仕組みとして、学校教員、福祉職員、そして学生のみなさんが、社会経済的に不利を負っている子どものために連携できるネットワーク作りも思い描いています。
これからとして、私の研究室が人と人をつなぐ場所になってくれればと願っています。特に学生のみなさんがさまざまな人や出来事に出会うことのできる、そんな場所にしていきたいと思っています。そして、その中で一人ひとりがゆっくりと自分の人生を考え、自分自身に向き合える、そんな時間を大切にできればと思います。そういう点で、ゼミに関係なく訪ねてきてくださることは大歓迎です。ちなみに、趣味は登山と旅行、それから人とお酒を飲むことです。特に良いお酒と音楽があればあとは望むものはありません。もちろん、なにより私自身がこれからのみなさんとの出会いを心から楽しみにしています。

臼井博:教員紹介

 この4月から参りました。こちらの大学では、教育心理学、学校心理学、専門ゼミナールなどの授業を担当します。専門は心理学ですが、発達と教育がクロスする領域が私の関心領域です。これまで研究してきたことは、子どものパーソナリティの発達と親子関係、子どもの認知機能の個人差(認知スタイル)、子どもの学校適応と学校種間移行の影響、学習動機の発達、などです。また、前任校(北海道教育大学札幌校)では多くの卒業生が小学校や中学校の教員になりますので、教師としての職能の生涯発達についても関心のある課題です。
 この大学の第一印象は、校舎がきれいなこと、そして皆さんが本当に親切に接してくださることです。いろいろと戸惑うことの多い私にとっては、事務の方に親身にお助けしていただき、何よりもありがたく感じています。それから、学生に対する支援のシステムも整っていると思います。たとえば、私の授業には聴覚障害の学生が3名受講しているのですが、それぞれにノートテイカーのボランティアの学生がついています。また、授業の資料などをインターネット上にダウンロードできることもありがたいです。それから、かなりの人数の授業にもかかわらず授業終了後に質問にきてくれるのはうれしくもありがたいことです。彼らの生の声から学ぶことは本当に多いものです。学生の皆さんの自己実現に対して少しでも助けになることができればと願っています。

土渕美知子:教員紹介

2010年4月に札幌学院大学に赴任してきました。3月までは児童の福祉や権利擁護の現場などで仕事をしてきましたが、特に児童相談所では、深刻な児童虐待の事例を始め、子どもたちにかかわる様々な相談に対応するなかで、「子育て・子育ち」が家庭という密室の中で完結してしまうことのあやうさを感じてきました。どんな分野もそうだと思いますが、当事者だけが問題を抱え込むのではなく、地域社会が様々な生きにくさを抱えた人たちに開かれていることが、今の時代にはとても大切なことだと痛感しています。担当は、「福祉科教育法」「社会福祉援助技術演習」などですが、これからの社会を担う若い人たちと、福祉や福祉教育について学び合いたいと思っています。趣味は旅行で、観光地でなくても知らない街をそぞろ歩くのが好きです。
土渕美知子
(土渕先生は2016年3月に退職しました。)

川合増太郎:教員紹介(2010/4更新)

研究領域
ドイツ文学の中でも19世紀末から20世紀の始めにかけてチェコのプラハで活動したカフカというユダヤ人作家を研究してます。『変身』という作品で有名です。法律上は差別がなくなったカフカの父親たちは経済的成功をおさめようとしてユダヤ人であることを捨て、年に4日の重要なユダヤ教の祭りがある時だけシナゴーグと言われるユダヤ教会を訪れただけでした。カフカたちはユダヤ人でありながら、ユダヤ人としての中身も文化、言語、宗教、社会も持たない根なし草でした。同時に、プラハで被支配者階級のチェコ人から敵視され、ドイツ人からも同化を拒否されて居場所もなく、必死に自分探しをしなければならなかった、当時のプラハのユダヤ人の状況やカフカと彼の作品を研究しています。また、東ヨーロッパからロシアにかけてユダヤ人の生活言語であるイディッシュ語を用いてユダヤの伝統を守って暮らしていました。イディッシュ演劇が盛んになり、旅回りの劇団がプラハにも公演に来て、カフカはこれを見、イディッシュ劇と劇団員との交流を通して始めて自分のユダヤ性を確認しまし、大きな影響を受けました。、この劇や当時のプラハの状況、東ヨーロッパやロシアに残っていた昔ながらのユダヤ人の生活や伝統、社会の状況がカフカに与えた影響も研究の対象です。

担当科目とゼミのテーマ、活動、行事など
ドイツ語の他、「人間と文学」を担当しています。この科目では文学の起源や古代から現代にいたるまでの文学の状況、いかに読み継がれ、享受され、社会に必要とされたか、近・現代の作家は何故作家になり、何を書くことに求めているのか、その人となりどうか、書く行為や読む行為にはどのような意味があるのかを考えています。村上春樹がアメリカの大学の講義の中で、自分の作品の意味を聞かれた時に「僕にも分からない」と言っているように、良い作品には作者の意図を超えた部分が必ずあります。カフカの作品も自分探しの側面があります。また、『源氏物語』は当時の読者が作品を書き写しながら、自分も創作に加わって楽しみ、原文を勝手に変えて書き写していたりしました。鎌倉時代に藤原定家という人が今の形にまとめる時に写本が沢山あり、内容がずいぶんと異なっているので、『名月記』という日記の中で嘆いています。そういうことも講義に取り入れています。
ゼミのテーマは「文学と人間および人間社会との関わり」で、具体的な作家や作品の行間を読みといていく作業をしています。なるべく沢山の作家を取り扱う為に、2回のゼミで読み終われる作品に絞っています。太宰治、芥川龍之介、夏目漱石、坂口安吾等の短編が中心になりますが、学生さんの希望を入れて現代のものも取り入れています。
ゼミのコンパもなるべく多く行い、夏休みにはゼミ合宿を行って勉強し、同時にお互いの親睦を深めています。今年は韓国からの留学生2名もゼミに入っています。
就職支援はエントリーシート、自己PR書の書き方の指導等も強力に行っています。

(川合先生は2016年3月に退職しました。)

牧野誠一:教員紹介

2009年4月に札幌学院大学に赴任してきました。専門は特別支援教育です。学校教育を中心に学んでいますが,幼児や成人についても様々な角度から取り組んでいます。保育士・幼稚園教諭を養成する学校にいたこともあり,障がいのある幼児に関わる施設と学校との連携をいかにスムーズにしていくか,といったことに今一番力を入れています。現場の声を聞くと,保育所は厚生労働省の管轄であり,文部科学省管轄の小学校や特別支援学校との連携を図ることにかなり苦労する,といったことがまだまだあるようです。
そのほかに,障がいをもっておられる方の余暇活動にも関心があり,北海道障害者フライングディスク連盟の大会手伝いなどをしています。ある大会で,ディスクを手渡したらすべて足元にぽとりと落として10枚を投げ終えられた選手がいました。「どうしてなのかな?」と思いながらもその選手が自分で判断してなされた行為を大切にしてあげる気持ちで「お疲れ様でした。楽しまれましたか」と声を掛けました。無言・無表情でその場を去られたのですが,大会が終了し,その選手が会場を出るときに「面白かった。バイバアイ」ととても大きな声を満面の笑みと共に私に向けてくれました。このような感激を味わうと「次回はどんなすてきなことが待っているのだろうか」とのめり込んでしまいます。「特別支援教育の世界って面白いことがとてもたくさん待っているよ。もっと学んでみない?」と担当の「障害児教育概論」や「障害児・者教育論」等で皆に誘いを掛けています。
また,趣味は写真を撮ることで,望遠系の写真撮影が好きだったのですが広角系の撮影に変化してきました。それから旅行、美味しい海産物を食べ歩くことも大好きです。09120946

(牧野先生は2016年3月に退職しました。)

モンゴル国チントルゴイ城址の調査成果刊行

2009年3月に本学総合研究所から『チントルゴイ城址の研究Ⅰ』を刊行しました。2006~2008年度の3年間に,日本私立学校振興・共済事業団の学術研究振興資金の助成を受けて実施した調査の中で,特に測量調査の成果部分をまとめたものです。
chintolgoj1 チントルゴイ城址は,11世紀初めに契丹(遼)国によって設置された鎮州の治所跡と考えられています。鎮州は,契丹の北方にいたタタールなどの遊牧集団との最前線に設置された辺防州ですので,日本でいうと古代の多賀城や陸奥鎮守府などに近いかもしれません。
城址といっても,単なる軍事施設ではなく,周囲約3.7kmを城壁で囲い,内部は道路により碁盤状に区画され,その中に建物が配置されています。京都(平安京)やそれをモデルとした札幌中心部のように,整然とした設計を持つ都市ということができます。現在は,何も無い草原ですが,900年前には大都市が広がっていたのです。ここには数万人が居住していたと思われ,調査の結果,城壁の外にも居住地があることが確認できました。また,生活用水や農耕のための灌漑用水のための水路が近くの川から引かれていたことも,地上観察や航空写真から確認できました。都市ですから当然生活インフラの整備も行われていたわけです。なお城址の詳しい内容については,私のHPを参考にしてください。

北東アジアの考古学

大規模な遺跡ですので,測量もかなりのハイペースで行いましたが,それでもよくできたなというのが感想です。この測量図に基づいて,今後は発掘しながら測量からの仮説を確かめていく必要があります。そして,このような都市の建設と維持,人口集中が草原地帯で行われた場合,当然周辺の自然環境に大きな影響を与えたことが考えられます。また,都市を維持するための生産・流通も考えなくてはいけません。そのため,都市内部の調査,土器や鉄製品などの地元産品の生産の解明,陶磁器など外部から持ち込まれた製品の検討,花粉等による古環境変遷の解明など多くの課題が残されています。
chintolgoj2 同程度の規模を持つ奈良の平城宮跡はすでに50年間調査が継続されていますが,それでも調査の割合は半分に及んでいません。もちろん,人員や予算に限界のあるモンゴルでの都市遺跡調査は,さらに時間がかかることは間違いありません。今年度から調査の主体は,中世城郭の第一人者である奈良大学の千田嘉博先生にお願いすることになりましたが,私も当然調査に関わっていきます。この成果を第1段階として,モンゴルでの調査研究にとりくんでいく予定です。chintolgoj3

(臼杵勲)

横山登志子:教員紹介

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 この4月に札幌学院大学に赴任してきました。専門領域は社会福祉のなかでも相談援助の方法論(ソーシャルワーク)で、過去に精神科病院と保健所でソーシャルワーカーとして働いた経験があります。病院で勤務していた頃は、長期入院の統合失調症の方の単身アパート退院を支援したり、地域に暮らす精神障がい者の方の生活支援を行ったりしていました。保健所では、乳幼児を抱えるお母さんのメンタルケアから、思春期相談、精神疾患が疑われる方の受診援助や退院支援、退院後の生活支援、アルコール・薬物問題の相談、認知症を抱える家族の相談など、さまざまな心の問題の相談支援を行ってきました。最近は、母子生活支援施設における相談援助に関わるようになり、あらためて利用者理解やチームアプローチの重要性を感じています。援助者は、「何を」「どういう立場から」支援するのか?について皆さんと一緒に考えていきたいと思います。ちなみに趣味は旅行、美味しい物を食べに行くこと、狂言鑑賞です。

二通諭:教員紹介

09041333
 3月31日まで中学校の教員でした。部活(羽球女子)の指導もしていましたので,休みのない生活でした。だからといって辛かったということではありません。楽しくて健康的な生活を送ってきたと思っています。35年間,小中学校教員として働いてきましたが,風邪など病気で休んだということがほとんどないのです。休まず働く,ということを目標にして心身を作ってきたのです。当たり前のようにいつもそこにいるという状態が基本なんですね。めざすは“究極の普通”なのです。
 専門は特別支援教育です。テーマとしてせり上がってきているのは「特別支援教育における教育学的実践モデルの構築—人格形成をめざして」というものです。そんなことを念頭に置きながら「特別支援教育総論」,「特別支援教育各論I(コーディネーター論)」,「同II(IEP論)」,「特殊教育」,「特殊教育実践研究」の講義をとおして,人間,発達,障害,教育について考えていきます。「教養ゼミナールA・B」のテーマも特別支援教育に引きつけたものです。各自の体験や映画など文化媒体を参考にしながら進めていきたいと考えています。
 私のもう一つのテーマは,障害者およびその周辺群の人々を題材にした映画を整理しながら,障害者問題解決の展望を考えることです。したがって,私の口からしばしば映画の話題が飛び出します。この領域は,映画,テレビ,マンガなどの大衆文化にアンテナを張ることが必要です。それによって問題の行方や,問題解決のみちすじが見えてきます。
特別支援教育に話を戻します。中学校では不登校生徒がますます増えています。かって37人に1人だったのが,いまは34人に1人です。少子化であるにもかかわらず,特別支援学級や通級指導教室,知的障害特別支援学校に通う児童生徒数が実数で増えています。全体として障害のある児童生徒,障害があると疑われる児童生徒の割合が高くなっているのです。
 特別支援教育と言っても,そう特別なことではなく,多くの児童生徒が活用するであろうごくありふれた教育になっていくでしょう。そんな近未来の学校をイメージしながら,ともにじっくり学んでいきましょう。

酒井恵真先生の退職を記念する研究会と懇親会

2月28日の土曜日に、人文学部の社会調査室主催の「酒井恵真先生の退職を記念する研究会と懇親会」が開催され、現在旭川在住の酒井ゼミ出身の卒業生やすでに退職されている人間科学科の元教員の方々が駆けつけてくれたのをはじめ、主として本学の教員を中心に、20名を超える参加者がありました。
09022868 研究会では、酒井恵真先生が、「北海道の地域社会変動をどうとらえるか—人文学部社会調査室30年の歩み—」というテーマで講演し、その後質疑応答が行われました。本学人文学部の社会調査室は、今年度で30周年の節目を迎えることになるのですが、酒井先生はそうした社会調査室の一員として、その間一貫して、社会調査実習や調査研究に情熱を傾けて来られてきました。講演の中では、そうした社会調査室主催の実習の歴史やエピソード、調査研究の諸成果、そして北海道社会の歴史的変動研究の方法について話がありました。質疑応答では、その中で、とくに北海道社会の特質やその変動を研究する方法について活発な質疑応答のやり取りが行われました。
研究会終了後、G館5階のレストラン文泉を会場として懇親会が行われました。やはり社会調査室の一員であり酒井先生と共にその社会調査室30年の歩みを主導されてこられた、本学学長である布施晶子先生の方から酒井先生の紹介と乾杯の音頭を皮切りに、終始なごやかに会が開催されました。会の中では、地域社会研究で交流のある他大学の教員・院生の方をはじめ、本学のさまざまな学部、立場の方々から酒井先生との交流のエピソードが紹介され、あらためて酒井先生が社会調査室を土台とする本学での教育・研究・運営に大きな功績を残されてきたことを感じることができたと思います。
img_0367 その酒井先生が、今年度を限りに退職することになりますが、退職後も、本学人文学部の社会調査室の研究・教育に、何らかの形でかかわっていただきたいという思いを強く感じる会となったのではないでしょうか。