1996・10・1 No.5


英語教育の新時代 ―行動する国際英語の獲得を目指して

岩城 礼三 Reizou Iwaki


 私事にかかわる話であるが、娘夫婦がこの4月1日から、当時5歳と1歳5ヶ月になる2人の女児を同伴し、在外研究でテキサスの大学に赴いている。夫婦は二人とも、日中は研究があるので、渡米後3日目からは、早朝に子供を幼椎園と保育所にそれぞれ預けて、タ方に引き取る。子供たちは、親以外の日系人は誰もいないという環境に投げ込まれたわけである。
 下の子は、日本を離れる時、やっと「パパ」という日本語(?)一語を言えるくらいであった。今この幼児がもっぱら(しかも、それ以外は殆ど言えないが)使うのは、NO、MORE、とMINEの3語である。保育所内では、まず自分のいやな事をはっきりさせなければ、仲間の中で自分の存在が抹殺されてしまう。「NOと言える」日本人であることが、彼女が必要によって覚えた異文化交渉の第一歩であった。
 次に獲得したMOREは、食べ物などの要求へと、自己の行動拡大をねらう意志の表現となっている。第3に加わったMINEは、もちろん無意識的にではあるが、自分のテリトリーの主張の表現に他ならない。最も英語的な思考法の基本であると言えよう。
 伝統的な英語教育観では、MOREは原級の後で学ぶ比較級であり、MINEは代名詞の独立所有格などという厄介な説明が必要などのために、シラバスの時系列配列では、かなり後になるだろう。しかし、生きて働く、行動する言語現実の視点からは、新しい社会言語学的・心理言語学的な知見によるアプローチが必要なことを示している。
 今や世紀のターニング・ポイントで、国際化や情報化が著しく進展してきた。ささやかな前例からも推測され得るように、国家間のみならず、日常的レベルの面でも、多様な文化の交差と相互依存性が急速に高まっている。英語の機能も変容し、英米人占有の民族語の規範をこえて、共通理解の為の国際補助語としての性格が強まってきている。しかも、インターネット化など高度情報化の進展に伴い、リアル・タイムで求められる多様な英語の情報処理は、教材観の転換を迫っている。
 学習者のニ−ズも行動パターンも多様で、教育の個性化が求められ、さらに、幼児期も含め、学校完結型教育ではすまされない新時代となってきている。生涯学習に転移できる「自ら学ぶ力」の育成が必要である。
「新しい時代の英語教育」で求められるのは、誤り意識の過剰な、ひよわな、縮み指向で、受動的な「英語にうまい」学生ではない。他者を理解し、行動する、発信型の国際コミュニケーション能力を持ち、国際共通補助語としての「英語に強い」学生を、地球社会の市民として育成することを、新しいカリキュラム編成の理念的核としたい。
 SGUのキャンパスは国際社会に繋がっているのだ。

 人間科学研究会の 
活動再開

 さる8月22日に、長い間中断していた人間科学研究会が再開された。再開後初めての研究会の報告者は中野徹三氏であり、報告のテーマは「『人間学概論A』講義の経験のなかから」であった。
 中野氏は、人間科学科の「人間学概論A」を長いこと担当して来られたが、今回はその経験の蓄積のなかから、その講義内容の概要、講義体験から得られたさまざまな知見と工夫、これらのうえに立った単一の総合科学としての「人間科学」への展望などが報告された。この研究会に参加したわれわれ一同は、あらためて、学科の基幹となる必修科目を担当されている中野氏のご苦労を実感するとともに、氏が20世紀現代の世界史的到達点とその主要特徴という広い視野から、「人間観と人間科学の歩み」、「人間とは何か―人間学基礎論」、「現代の人類が直面している諸間題」の3つの柱を中心に、きわめて幅広い諸間題を取り上げて講義されている様子を知ることができて有益であった。
 この研究会が再開された直接の動機は人文学部創立20周年に向けて人間学概論A・Bで使用可能なテキストまたは参考書を刊行しようという機運が起こっていることにあるが、この研究会の継続は、今後の学科改革をめぐる論議にも大ぎな方向づけを与えるものとしてその成果が期待されている。

(奥谷浩一)


第2回 「フォーラム人間科学を考える」に参加して

 さる7月6日に、表記のフォーラムが埼玉県の早稲田大学所沢キャンパスで行われた。このフォ−ラムは、大阪大・文教大・早大など、人間科学部をもつ全国8大学の学部長が呼ぴかけ人となり、いまだに確立されているとはいえない「人間科学」を諸大学の知恵を集めて学問的に追求しつつ、将来は学会設立の可能性も検討しようという趣旨で、昨年12月に発足したものである。
 今回のフォーラムは、常磐大学の後藤和彦氏による「人間科学と人間科学部」と題する基調講演で始まった。同大学が83年に人間科学部を設置して以来、カリキュラム改革の論議を積み重ねながら、今年4月に新しいカリキュラム体系を発足させるにいたった経験が興味深く話された。
 また「人間科学のイメージ2」と題する早大の鈴木晶夫氏の問題提起は、人間科学のイメージをどう学生が受けとめているか、人間科学部は何を情報として発信すべきかについての、前回に続くお話であった。この話ではとくに、インターネットにP・Rを入れている大学が日本でもすでに78あって、今や受験生や留学生が国内外でコンピュータ情報を駆使しながら大学を選択する時代になったということが我々の関心を集めた。
 このあとの質疑応答で出された意見はほぼ次の二つに大別できる。第一に、人間科学を行動科学と同じものとみなして、行動科学の方法を積極的に用いてゆくべきだという意見である。
 第二に、自然科学の進歩が人間を離れて独り歩きしていることの反省から、諸科学の総合性または人間に対する問題関心を軸に、人間科学に接近して行こうとする方向である。
 最後に、科学の限界を認め、科学の意味にたいする問いかけのなかから、哲学・文学を含めて人間を全体的・実践的にとらえてゆこうという、人間学的な方向である。
 人間科学は、人間学と行動科学、総合性と専門性とを両極として、今後もこの間をゆらぎながら進んでゆかざるをえないであろう。この集まりが、教員・院生・学生の3者が率直に疑問を提起しあうという良さを生かしつつ、これら3つの意見をどれだけ噛み合ったものにしてゆくかが課題として残されているという感想をもった。
 第3回目のフォーラムは来年に札幌学院大学で開催される予定である。議論の継続に大いに期待したい。

(奥谷浩一)



1996年度前期末
 学位記授与式 

 本年度前期末学位記授与式(卒業式)が9月26日、本学で挙行された。全学部では40名にそれぞれ学位記が授与され、めでたく卒業となった。
 人文学部では人間科学科5名、英語英米文学科2名の計7名と例年になく多い数となった。式では、各学部長より一人一人に学位記(卒業証書)が授与されたあと、学長などの励ましを受けて、思い出深いキャンパスをあとにした。これで人文学士の学位を授与された人文学部の卒業生は、3,047名(人間科学科・2,120名、英語英米文学科・927名)となった。
 本年度は式のあとに建学館の文泉でささやかな卒業を祝う会を催し、卒業生と教職員の懇談のひとときがもたれた。

 教育実践研究会 


(第2回) 「シラバス」をめぐって

 人文学部の教育実践研究会の第1回は3月に「21世紀の英語教育を考える」と題して開催され、第2回目の研究会が7月18日の教授会終了後に「シラバス」をめぐる懇談会として実施された。問題提起者は生田邦夫教員で、シラバスの目的と意義、あるべぎ姿、学生による授業評価との関わり、他大学での事例などが紹介された後、自由討議に入った。
 「科目の性格によりシラバスの形態を変えるべきである」、「学生が実際に読み、利用する実用的なものにする必要がある」、「学生による授業評価を取り入れるのに際しては、客観性を確保する手だてが必要である」など、重要な視点からの意見が活発に交わされ、今後のシラバスの改善のための有益な示唆が得られたことと、今年度から導入されたシラバスの問題点もあらためて浮かびあがり、引続き検討を重ねていくことの必要性を感じた。
 今後とも教授会では諸種の教育実践に関する研究を重ね、教育内容を図るため継続的に研究会が開がれることが望まれる。

(川合増太郎)




(第3回) 人間科学部の教育とカリキュラム改革

 9月5日、常磐大学人間科学部の柄澤行雄教授を招いて「人間科学」教育のあり方をめぐる研究会が第3回教育実践研究会として開かれた。
 柄澤教授は、常磐大学人間科学部発足当初より学部の運営や改革に中核的な役割を果たしてこられ、同学部の人間科学教育への取り組みや、今春より実施された新カリキュラム改革の実情に精通しておられる。そこで、この研究会の講師にお招きし、人間科学科会議において常磐大学の実情やカリキュラム改革の理念や目的について報告していだだいた。
 報告では、今回のカリキュラム改革にあたっては学際性、実践性、国際性、少人数教育、電算機教育の5点と学問の方法論的基礎論の導入が柱になっていること、専門ゼミは専攻の枠を越えて取れるようにしたこと、一般教育を総合講座に改組したこと等が述べられた。
 その後、活発な質疑が行われ、文部省より学科共通科目の設置と3学科乗り入れ科目の単位数増を求められたこと、複数の学科があっても、1研究科1専攻で大学院を設置できたこと等も明らかになり、カリキュラム編成の苦心の一端も明らかにされ、貴重な情報や示唆が得られた。

(川合増太郎)



 人文学部 
 夏期集中講義 


人間科学科
行動を科学する「心理学特殊講義」

 本年度の心理学特殊講義は早稲田大学人間科学部の春木豊教授をお迎えして行なわれた。
 初めに早稲田大学の人間科学部の人間基礎科学科、人間健康科学科、人間スポーツ科学科の紹介があり、その中にあって心理学とは「科学」である事が強調された。簡単な講義内容を紹介すると、次のようなものであった。「1日目」、心・体・社会・自然の4つを十字に置き、それらをとり結ぶ中心に行動が入るという「人間のモデル」図が紹介され、「行動の科学」という本題に入った。自然から得る食物が直接、自分の身にくっつくというユニークな発想は、自然をより身近なものと感じた。又、動物行動学では昆虫、魚、鳥、猿等の特徴的行動や人間上の共通行動が紹介されたのが大変興味深かった。「2日目」行動は「行い=行為」と「動き」に分けられ、さらに「動き」は、動作・体動・反射の3つに分けられる。この中で体動とはノンバーバル(非言語)行動の事であり表情、姿勢、空間行動も含まれ、さらに姿勢ひとつで心も変化するという調査結果について講義された。「3日目」、周囲の状況との関係から「行動」を捉える考え方が紹介され、古典的条件づけ、オペラント行動、強化について実験結果を交えて詳しい話があった。「最終日」、心理療法は「心」を、行動療法は「行動の変容」を夕ーゲットとする事、人間はHolisticな存在であり、現在、認知行動療法という考え方がある事が紹介された。4日間を通し受講者に1年生が多い事を考慮されて、難しい専門用語等は使われず、時に御自身が体験されているヨガや大極拳の話をおりまぜながら大変わかり易い語り口で、最後まで私語もなく最後は自然に沸き起こった拍手で講義は閉じられた。

(人間科学科4年 廣田寿美)


「公開講座」北海道文化論  「北海道のくらしと社会福祉」

 例年夏期集中講義として行われ、公開講座として回を重ねて来た北海道文化論は、今年も8月26日より「北海道のくらしと社会福祉」を総合テーマとして開催された。個別のテーマと講師は以下の通りである。8月26日「北梅道のくらしと社会福祉」松本伊智朗(本学教員)、8月27日「地域でくらすということ」佐藤正尋、8月28日「文化活動と社会福祉」安井愛美(剣淵北の杜舎ソーシャルワーカー)、8月29日「住民運動と施設づくり」鈴木均(特別養護老人ホームかりぷあつべつ事務長)、8月30日「地域福祉と自治体」津田光輝(本学教員)、8月31日「北のくらし・北の家族・北の福祉」布施晶子(本学教員)。
 北海道文化論を社会福祉の領域で構成することは、初の試みであった。北海道に固有の文化として社会福祉の問題を位置づけることは無理があるが、ここでは政策的に規定される側面ではなく、社会福祉の実践、運動の側面に焦点をあて、地域のくらしに根ざした諸活動の具体的な姿と可能性を浮き彫りにすることが目的であった。各講師はそれぞれの実践・研究の立場からこの課題に答え、バラエティに富む1週間となった。特に佐藤正尋氏が重度障害者の立場から、自らのこれまでの生活と活動を淡々と話される様子は、参加者に大きな感銘を与えたと同時に、テレビ報道もなされるなど注目された試みであった。
 例年の如く、学外の市民の方々の熱心な参加がえられ、質疑に参加されたことも大きな収穫であった。

(松本伊智朗)





英語英米文学科
 対話による 
 「現代英語学」講義 

 今年度英語英米文学科夏期集中講義は奈良市にある帝塚山大学から八木克正教授に遠路おいで頂き、現代英語学について興味深い内容であった。やっと暑さが訪れた8月下旬の夏休み中ではあったが、50名近い学生は熱心に受講し、スイスの言語学者ソシュールの鍵概念を再確認しつつ、現代英語学の成り立ちを学んでいた。
 八木教授のご専門は英語の語法研究と英和辞典編纂であるが、英語学習者が高校、大学で使用する多くの英和辞典編集に執筆者として加わってきた。辞書編纂に関わる興味深いエピソードや苦労話も印象に残るものであった。
 また、帝塚山大学ではカナダの大学と長年に渡り国際交流を継続しており、その経験を元に英語によるコミュニケションの重要性と喜びについても講義のなかで紹介され、対話形式で進行した講義は一部英語でなされ、学生は緊張感をもって受講していた。

(宮町誠一)



 PLU 
 第一期留学生元気に帰国 

 今年の3月末から本学の提携校である米国ワシントン州タコマ市にあるパシフィック・ルースラン大学に留学していた学生6名が8月末に元気に帰国した。人文学部英語英米文学科から3年生4名、2年生1名が参加していた。
 9月2日に第1期留学生が全員そろって杉本学長へ帰国の報告に学長室を訪れた。「楽しかった」、「有意義でした」、「5ヶ月間が短かった」、「ホストファミリーが最高」等の言葉が満足感と自信と共に溢れでてきた。一番苦労したのはどうも食事のようだった。しかし、在米中は繊細な日本の味を懐かしむ思いを深めた学生達も、帰国して1週間もたたないうちから、味の大まかなアメリカの食事を恋しがっていた。
 留学生活で「楽しかった」ことはなんといっても人との出会い。英語の授業では世界各国の学生と机を並べることになる。韓国の学生と親しくなって、英語以上に韓国語に堪能になったり、フランス人学生と話しているうちにフランス語訛りの英語を覚えてしまったり、多様な人々との「楽しい」出会いが無限に広がる。
 本学のプログラムの特徴は英語の学習とアメリカ研究の2本立て。英語運用能力の向上ばかりでなく、現代アメリカ社会そしてその文化の講義、レポート、討論を通して研究する。最初の3ヶ月間は英語を「聴き、話し、読み、書く」という基本4技能の向上に専心し、後期の2ヶ月間は週3回の「アメリカ研究」の講義科目を受講する。今回の留学生達は当初の目的を充分に果たしてきたという意味でまさに「有意義であった」。
 もう一つの特徴は5ヶ月間にわたるホストファミリー生活である。「ゲスト」としてではなく「家族の一員」としてアメリカ人家庭に入るのであるから、異なる生活文化に対する柔軟性が学生には要求される。
 帰国した学生たちは口をそろえて、日本のものが全て小さく見えるという。部屋も狭く、天井も低く、とりわけピザは小さい。この感想を、異なる空間感覚の体得に留まらず、5ヶ月間の留学を体験した学生一人一人の知的、精神的成長の証左として受け取り、今後の活躍に期侍したい。

(宮町誠一)



 英語教育とパソコン 
 CALLは天命か! 

 高度情報社会の到来が喧伝される中で英語教育の分野でもマルチ・メディアを活用した学習法が関心を呼んでいる。特にマスプロ教育という宿命を負っている私立大学においては、コンピュータを導入することによって語学学習の一層の効率化を図ると同時に、「学習者中心」の個別学習の可能性が生まれている。つまり、人間教員による一斉授業での指導と、コンピュータ用学習ソフトによる個人学習を巧みに組み合わせることによって、英語学習の面で今までにない効果を期待できる。このようにコンピュータの支援を受けた外国語学習システムをCALL(Computer-Assisted Language Learning)と呼んでいる。その利点はまさに私大におけるマスプロ教育の弊害を解消するものである。キーボードに指を載せる時、学生は学習の主体者として、学生自身の関心から学習素材を選択し、学生の到達レベルに応じた習熟度別学習が可能となり、学生の理解度に応じたぺ−スで学習し、その学習履歴が記憶、分析され、必要に応じて教員の適切な指導も受けることができる。
 そのような理想的な学習環境の整備には多大な経費を負担しなければならないが、その有効性は先進的な大学では実証済みである。千葉大学では1994年度から始まったCALLによる英語学習の結果、一年間でTOEIC百点分に相当する英語力の向上が見られたことが報告されている。本学においても、学生の英語教育に対する二−ズを的確に把握し、その多様な要請に答えるためにハードとソフトの充実のための努力を継続しなければならない。コンピュータを活用した英語を含む外国語教育(CALL)は私立大学にあっては21世紀からの天命(Call)といえる。

(宮町誠一)


◎大学院合格者
北海道教育大学院教育学研究科 社会科教育専修
☆小野 郁代(人間科学科1998年度卒 藤井ゼミ 上ノ国町河北小学校教諭、道教育委員会派遣による)

 菅原ゼミ 
 イギリス研修旅行記 

1996年2月11日は私たちの一力月間に渡る海外研修旅行の始まりでした。そもそも、この旅行プランがスタートしたのは昨年9月のこと。その後何回かのミーティングを経て、10人以上の希望者も5人に厳選?され、結局2週間のホームステイと語学研修の海外旅行となりました。期待100%だった心も、出発が近づくにつれ、不安が押し寄せてきました。
 私たちの研修先であるウース夕ーはロンドンからバスで約3時間の西方に位置する比較的小さな町です。長い長いフライトを経て、ウースターに到着したのが夜の10時過ぎ、すぐにホストファミリー宅へ向かい、お土産とあらかじめ考えてきた挨拶をすますと、そのままベッドヘ。疲れているのに、なかなか寝つかれませんでした。こうして始まった海外研修ですが、印象に残る出来事の一つだけをご紹介します。
 その日は街頭アンケートをしようということになり、冷たい風の吹く中を近くの繁華街に出て、英語でアンケートをとっていました。その時、逆に地元新聞の記者にロンドンの爆弾テロ事件についての感想を聞かれたのです(もちろん、こちらのアンケートにもしっかりと答えてもらいましたが)。その翌々日のタ刊に顔写真付きで、私のコメントが紹介されたのです。日本でも新聞にのったことなどなかったので、非常にいい記念になりました。翌日、何人かの知らない人にまで新聞見たよと言われたり、ホストファミリーに有名人だねと言われたり、すこし照れくさかったけど、とても印象深い出来事でした。

(英語英米文学科95年度卒 吉田正義)



 SGU英語教育研究会主催の講演会 
 英語教育とリアルライフ・イングリッシュ 

元文部省主任調査官 小笠原 林樹氏


 昨年発足した本学の英語教育研究会は、7月13日、本年度第1回の公開講演会を開催した。演題は、今英語教育で問題となっているオーセンティックな(真正の)英語にかかわるもので、「英語教育とリアルライフ・イングリッシュ」であった。小笠原講師は日本英語教育学会の中心的プロモーターで、現在関東支部長であり、今回の講演会は同学会北海道支部の後援もいただいた。講師は、今までに国内の公私の大学でのほか、メルボルン大学の教授などもされており、多様な生の英語の研究・教授経験を踏まえて、実際の教壇からのように、具体例をもとにして講演をすすめられた。いわゆる「心を打つ話」をよしとする日本人英語教師の授業に見られがちな抽象的・教養主義的な展開ではなく、実際の言語表現に反映している現地感・臨場感をもった「文化・風土」をどう取り上げ、指導するかを実演された。聴講した学生の事後のアンケートの中には、感動したという評言も見られた。「異文化理解」とはどういうことなのか、「英語力」とはどういうことなのか、また、英語教員は「英語嫌い」を生産していないか、という問いかけが、講演の深層構造に流れていたと言えよう。
 小笠原講師は、日本において「英語教育学」というタームを提唱され、その理論構築に最も早く取り組まれた方である。一方、長く文部省の主任調査官を務められて、行政的にも、日本の英語教育改善について力を注いで来られただけに、中学・高校の英語教員のほか一般市民の方々など、120人をこえる参加者があり、時間を忘れる熱気のこもった講演会であった。

(英語教育研究会)


資格取得者

◎第8回社会福祉士国家試験合格者(1996年5月発表)
☆忍  正人(1986年度卒、布施ゼミ、道社会福祉協議会勤務)
☆庄子 泰代(1995年度卒、法学部、小樽老人保健施設マイトリー勤務)
本学卒業生で社会福祉士試験合格者は7名となった。(うち人間科学科6名)
◎臨床心理士資格取得者
☆太田 優(1985年度卒、生田ゼミ、天童市千布後藤病院勤務)
人間科学科の卒業生で、臨床心理士の資格を取得した者は4名となった。
◎認定心理士資格取得者
☆山内 秀樹(小山ゼミ)
☆青山 公恵(小林ゼミ)
☆阿部 裕子(小山ゼミ)
☆大和田朋子(清水ゼミ)
☆大野由美子(清水ゼミ)
☆近内 雅子(小山ゼミ)
以上の6名はいずれも1995年度卒業である。人間科学科を卒業して認定心理士の資格取得した者は9名となった。

 心理臨床センター主催 
 第二回「公開講座」を開催 

 本年度前半の心理臨床センター主要事業である公開講座『児童生徒の心理的問題の理解と援助』が7月27、28日の両日にわたって本学で開催された。この講座は小学校から高校までの教員を対象とするものであるが、非常に好評で申込みが殺到し、短時日のうちに満員となった。
 初日には、子どもの心理的問題をどのように理解するかをめぐって、本学のスタッフなどから「子どもの心理的問題を理解する視点」「子どもとストレス」「思春期の適応問題」などの講義が行われた。
 2日目は、子どもの適応問題への援助的アプローチが取り上げられた。午前の部では「父母カウンセリング」の方法が紹介された。午後には、まず、昨年から旭川市のT中学校でスクールカウンセラーとして活動しておられる北海道大学教育学部の伊藤亜矢子氏が「教師とカウンセラーの連携」について話された。続いて、東京大学教育学部の近藤邦夫教授が「学校の中の教師と子ども〜教飾の悩み、子どもの悩みを理解するために〜」という演題で講演された。近藤教授は学校臨床心理学という新しい分野を開拓し活躍しておられる方である。なお2日目午後は、北海道臨床心理士会会員の研修会としても開放され、10名ほどの臨床心理士が参加した。
 今回の講座内容は、学校教師にとって非常に関心が強く熱心な質間が続出した。

(清水信介)


人文学部 就職動向を探る
民間企業より専門職志向

 学生の就職戦線も山場を迎えている。人文学部の就職状況は、9月末時点で男女とも前年を上回る就職率を示している。民間企業の内定状況をみると、道内有力全業・マスコミ出版関係に内定した者などがめだっている。
 例年の人文学都の就職動向の特徴は
  1. 資格を生かした就職を望む傾向が高い。
    教員・学芸員・福祉施設職員・病院医療ケースワーカー等であるが、教員への希望は他学部より多く、卒業後に合格する者も多くみられる。
  2. 公務員志望が多い
    現役での合格率はあまり高くないが、卒業後1〜2年かけて、出身地の町村へ合格している状況がみられる。
  3. 民間企業への就職は、他学部と比べて弱く、企業研究・就職努力がやや不足している。
  4. 就職希望先をみると、人間科学科ではマスコミ関係、英語英米文学科では旅行代理店の希望が多い。しかし、民間企業の営業部門への就職については、消極的傾向がみられる。厳しさは続いているが、今年は女子学生の就職率アップが目立つ。
 一般に、人文学郡の学生は、就職を第一義的に考えて、卒業と同時に就職しようとする意識が他学部に比べて弱く、ホームステイや養成学校で資格取得の勉強をつづける学生もみられ、出身地にもどる率も他学部より高い。一方、卒業後、仕事に就きながら資格取得をめざし、臨床心理士・社会福祉士の資格を取得した努力組もみられる。
 また、特異なところでは、卒業と同時に障害者の作業所づくりに取り組み、長年かかって無許可の共同作業所を法人認可施設とした地道な活動もみられる。

(津田光輝)


モンゴルに義援金

 8月上旬、広大な面積を焼失したモンゴルに今年も調査で入り、学内外からの義援金1,500ドルと文房具をデルゲルハーン村の村長に手渡しました。学生4人と歩きまわった草原は火災の跡を残さないほどに草が復活していたものの、森林は焼け焦げが生々しく、将来の生活への影響が心配される状況でした。
 村長の『貴方たちはボルハン・フン(仏びと)です』との感謝の言葉をカンパを寄せていただいた皆様にお伝えします。

(鶴丸俊明)



 96年度学部教員の人事、 
 研究活動等(4/1〜10/1) 

◎教員の異動
▼退職(6月30日付)
・澤田 幸展(心理学)札幌医科大学医学部へ転出
▼昇任(10月1日付)
・教授 大瀬 隆(体育学)
◎留学研究(国外研究員)
・後藤 弘 96年10月1日〜97年9月30日
      アメリカ「現代英語の語法研究」
・内田 司 96年10月1日〜97年9月30日
      イギリス「コミュニケーション論を基礎とした社会理論の形成過程の研究」
◎海外研究出張
・川瀬 裕子 96年4月1日〜4月10日
      アメリカ「アメリカ演劇研究のための資料の収集」
・鈴木 秀一 96年5月31日〜6月11日
      イタリア・スペイン「協同組合立学校の調査・見学」
・鶴丸 俊明 96年8月1日〜8月8日
      モンゴル「チンギス・ハーン陵墓探索」
・後藤  弘 96年8月13日〜9月21日
      アメリカ「留研先(ハーバード大学)での研究打合せ・資科収集」
◎学部教員出版物
・内田  司
『埋性・感情・諸個人の自律』89頁 824円 創風社96年7月
・松本伊智朗(分担執筆)
渡辺貞雄編『21世紀の社会政策』法律文化社 96年3月 256頁 2,987円
長谷川真人編『子どもの生活と援助』ミネルヴァ書房 96年4月 212頁 2,261円
◎研究助成
▽文部省科学研究費助成
・(代表)酒井恵真(基盤研究)
「現代日本の地域社会形成と中小企業の展開に関する実証的研究」96〜99年度 1,680万円
研究グループは内田司、湯本誠、津田光輝、北爪真佐夫、小内純子、小内透(北大)、藤井史朗(静大)
・湯本  誠(基盤研究C)
「自動車産業における日本的経営の国際化に関する研究」96〜97年度210万円
▽ノーマライゼーション研究センター助成
・松本伊智朗
「障害児の生活構造と地域福祉の課題」1996年度 38万円
◎委嘱発令
・坪井 主税 北海道地方自治研究所理事(96・97年度)
・鶴丸 俊明 江別市文化財保護委員会委員(96年8月1日〜98年7月31日)
       小樽市博物館協議会委員(96年8月1日〜98年7月31日)
・佐倉  朔 母と子のよい歯のコンクール中央審査委員(厚生省・日本医師会)(96年度)
・笹岡 征雄 江別市スポーツ振興財団評議員(96年6月〜98年5月)
・奥田 統己 北の生活文庫企画編集委員会臨時委員(道)(96年度)
・滝沢 広忠 社会福祉法人設立準備委員(社団法人札幌聴力障害者協会)(96年度)
・戸田 昭治 札幌市青少年育成委員(96年4月〜98年3月)
       南区民センター運営協議会委員(96年4月〜97年3月)
・松本伊智朗 北海道児童虐待事例検討委員会委員、(道児童相談所)(96年9月〜97年3月)
編集後記
 入試の地域別説明会(高校の進路指導担当者対象)の配布資料に学園広報・学院評論に続いて人文学部報が加わった。
 皆さん興味深げに読んで下さるが、そのうちのある方は、人文学部固有の間題やその議論を知ることができて大変参考になると喜んでおられた。
 「人文学部の実像と心意気が伝わるものでありたい」(第1号編集後記)との思いは着実に実現されているようである。(鶴丸俊明)